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改正入管法が成立、「育成就労」制度創設へ

外国人材の育成と確保を目的とした「育成就労」制度を創設する改正出入国管理・難民認定法などは、14日の参院本会議で自民、公明両党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。新制度は現行の技能実習制度に代わって2027年までに始まる見通しで、政府は有識者会議を設けて詳細な制度設計を急ぐ方針だ。
 技能実習が途上国への技術移転を通じた「国際貢献」を目的とし、最長5年での帰国を前提としているのに対し、育成就労は「人材の確保と育成」を目的に据えた。外国人材を3年間で一定の技能水準に育成し、在留資格「特定技能」への移行を促すことで人手不足の解消を図り、長期就労につなげる狙いがある。
 現行制度では、技能実習と、その後に5年間働ける特定技能1号とで受け入れ分野にずれがあったが、新制度では分野を同じにして、移行をよりスムーズにする。さらに技能が熟練の水準となれば、家族帯同の無期限就労が可能な特定技能2号に移行できる。
(読売新聞オンライン 6月14日)

外国人労働者の受入拡大策は、日本の若年労働者の確保が困難な業種の人手不足を解消する手段として、安価は労働力を海外から調達するという本来の目的を明確に打ち出したほうがよい。
ところが現状は多様性や包摂性の確保が題目にすえられ、多文化共生社会をめざすというのが政府の方針だ。多文化共生とは、総務省の定義によると「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」。総務省は、多文化共生アドバイザー制度、多文化共生地域会議を運用し、地方自治体に「多文化共生の推進に係る指針・計画」の策定を主導している。
たしかに多文化共生は崇高な概念だが、「郷に入っては郷に従え」が万国の基本ルールではないのか。外国人労働者は受け入れ国側の文化に合わせるのであって、受け入れ国側が外国人の文化に合わせるのは筋が違う。共生という言葉は耳障りこそ良いが、郷に従ってもらってこそ共生が実現する。
現に、地域の構成員に定着しているような外国人は、おしなべて郷に従って暮らしている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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