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ビジョナル純利益23%増 24年7月期、広告費用を効率化

ビジョナルは13日、2024年7月期の連結純利益が前期比23%増の122億円になる見通しだと発表した。従来予想を12億円上方修正した。売上高は18%増の664億円と従来予想を据え置いた。主力の転職サイト「ビズリーチ」の売上高を下方修正したが、他の事業が伸びるほか広告費用の効率化などが寄与する。
広告投資など費用の効率化や人材マネジメントを支援するシステム「HRMOS(ハーモス)」で営業赤字の縮小が想定より進む。ビズリーチでは外資系企業を中心に人材採用の需要が縮小しているほか、求職者の転職までの期間の長期化で売上高を従来予想から10億円引き下げた。
13日発表した23年8月〜24年4月期の連結決算は売上高が前年同期比18%増の489億円、純利益が57%増の110億円だった。企業の中途採用の拡大などでビズリーチが堅調に推移した。累計導入企業数は4月末時点で約3万社と23年7月末から約4千社増えた。
(日本経済新聞 6月13日)

 この記事に「ビズリーチ事業では外資系企業を中心に人材採用の需要が縮小している」と書かれているが、マイナビの調査でも、企業が4月に中途採用を実施した割合は43.4%で前月から減少した。ただ、実施割合の推移を見ると、緩やかな増加基調がつづき、中途採用需要が縮小する局面に入ったとは言い難い。
中途採用の実施割合が前月から減少したことを受けて、正社員が転職活動を実施した割合も前月から減少した。年代別では、とくに20代の減少が目立ち、20代よりも30代のほうが転職活動実施率が高くなった。
一方、業種別にみると、中途採用実施率がもっとも高かったのは「医療・福祉・介護」。次いで「IT・通信・インターネット」だった。「医療・福祉・介護」のなかでも、採用需要が高いのは介護だ。官民挙げて人材確保に腐心しているが、展望は開けていない。
その対策のひとつにDX推進による介護現場の生産性向上が焦眉の急で、2024年度介護報酬改定では誘導策として「生産性向上推進体制加算」が新設された。見守り機器の導入や業務改善の実績データの提出などを要件に加算を算定できる。人手不足による介護現場の崩壊を防ぐ窮余の策とも言えるが、サービスごとに設定されている法定配置人数が緩和されたわけでないので、採用需要が低下することはない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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