2024/06/20
マンションの完成までの期間が長期化している。日本経済新聞の調査によると首都圏の大規模物件の工期は平均2年半と、10年で3割延びた。建設だけでなく、設備でも人手不足が深刻な状況だ。建築コストの増加で、新築価格は過去最高となった。さらに長くなる可能性も高く、販売価格の上昇が需要を押し下げる懸念もでている。
(中略)
工期が延びた主因は人手不足だ。職人の高齢化もあり、建設業の就業者数は23年に483万人と20年間で約2割減った。
24年4月から時間外労働の規制が厳しくなるのを見据えて、建設業界は働き方改革に取り組んできた。週休2日に相当する「4週8休」の導入も加速した。建設業の働き手の総労働時間は、働き方改革の議論が活発化した15年以降、1カ月あたり4%短くなった。
エレベーターなどの設置に必要な電気捏美の作業員も不足している。日立ビルシステムは4月以降、建設現場の労働時間が減少することにより、同社の新設エレベーターの施工能力は24年度に前年度比6%(300台程度)減ると試算する。
(日本経済新聞 6月12日)
人手不足倒産の件数が増加傾向にある。東京商工リサーチが発表した2024年1~4月の人手不足倒産の件数は、前年同期比2倍超の90件。調査開始依頼最高を記録した。24年4月から残業時間の上限が規制された建設業の倒産件数は同3.5倍の21件で、24年問題が表面化している。
打開策はあるのだろうか。さる6月7日、改正建設業法が参議院本会議で可決・成立した。改正建設業法には①建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化するとともに、国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表②労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者及び注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止(違反発注者には国土交通大臣等が勧告)③受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止――などが盛り込まれた。
いまや建設業の技能者のうち、60歳以上の割合が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%に過ぎない。
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