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東京都 介護職員らの処遇改善に「居住支援特別手当」

介護職員の確保が難しくなる中、人材流出に歯止めをかけようと、東京都は、独自に介護や福祉職員を対象に最大で月額2万円を支給するとして、来月17日から申請受け付けを開始すると発表しました。
介護業界ではニーズの増大が予測される一方で、給与水準の低さや人手不足などで職員の確保が難しくなっています。 このため東京都は、介護や福祉職員らに対し独自に「居住支援特別手当」を支給するとして、来月17日から申請受け付けを開始します。
対象となるのは、都内の介護保険サービス事業所や障害福祉サービス事業所などに勤める介護や福祉職員、ケアマネジャーで、所定労働時間が週に20時間以上の職員で、1人あたり月額1万円を支給します。さらに、給与が低いとされる勤続5年目までの若手職員には、さらに1万円を加算して、月額2万円とするということです。
都によりますと、支給対象となるのは約24万人の見込みで、他の地域に比べて住宅費が高い東京の地域特性を踏まえて、こうした支援をおこなうことで、介護業界の人材流出に歯止めをかけたいとしています。
(日テレNEWS 5月31日)

どの業種も人材は地方から都会に流出する。この人口移動は明治時代からつづいている。地方で介護人材を確保するには人材紹介会社に依頼せざるを得ないと聞くが、手数料を介護報酬から捻出するのだから費用負担には限界がある。
この苦境にあって、地方から都会への介護人材流出に新たな問題が浮上しそうだ。地方で雇用された外国人介護人材の都会への流出がはじまっているのだ。技能実習で特定技能1号・2号に移行するときに、東京圏、名古屋圏、大阪圏、福岡圏への転入が多い背景は、地方からの流出がつづいているからだ。
地方の介護事業者はいくら技能実習生を育てても、どんどん4つの都市圏の事業者に人材を吸い上げられている。東京都が福祉職員やケアマネジャーに支給する居住支援手当と同様の補助措置を特定技能にも適用したら、さらに流れが加速してゆく。
技能実習制度に代わる育成就労制度の制度設計に際して、国の資料は「地域に偏在しないように努める」と記述されているが、具体策には言及されていない。これから議論されるのだろうが、地方に定着する仕組みを講じないと、地方の事業者は雇用して育成した時点で離職され、新たに海外から人材を雇用して、育成したら離職される――という悪循環に陥りかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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