2024/05/27
スルガ銀行は定年などに伴い通常は大きく下がる賃金を「現役並み」に維持する取り組みを一部行員を対象に導入した。支店など営業現場の人手確保につなげるほか、リスキリング(学び直し)による職種転換も促す。一方で若手行員にはジョブローテーションなどを通じて多様な経験を積ませ、総合的な人材活用を目指す。
同行では定年後も嘱託職員として働く場合、従来は60歳の定年時などの節目で段階的に給与が下がる仕組みだった。3月から一部行員は給与を下げず、最長70歳(従来は65歳)まで働き続けることができるようにした。
(日本経済新聞 5月16日)
当然だが、定年後の社員の意欲を引き出すには働きに見合う報酬が必要である。定年を理由に大幅に引き下げられるのならば、報酬に見合う働きにとどめようと考えるのはやむを得ない。定年まで在籍してことへのお礼奉公として、全力で働く人は例外だろう。定年後の収入源を改める企業は増えるに違いない。
一方、定年後の収入には年金制度に大きく左右される。
政府が5月23日に開いた経済財政諮問会議で、6月に策定が予定される「骨太方針」が議論され、年金制度も言及された。民間議員が「働き方に中立的な年金制度の構築」を提言したが、この提言は在職老齢年金の見直しを示唆している。
在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下の場合は全額が支給されるが、合計が50万円を超えると合計額に応じて減額され、支給停止となる場合もある。減額や支給停止は長年納付してきた年金を回収できず、いわば受け取りを放棄するに等しい。
たとえ高収入を得ていても、60歳以降に受け取る前提で納付してきた年金を回収できないのは釈然としないのではないのか。現行の制度のままでは、合計50万円に収まる範囲でしか働きたくないと意欲の湧かない人がつづいて、シルバー世代の戦力化は期待できない。
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