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教員給与増、勤務間休息も 処遇改善・負担減の提言案

中教審の特別部会は13日、処遇改善や残業削減といった教員確保策の提言をまとめ、盛山正仁文部科学相に提出した。公立校教員に残業代の代わりに上乗せする月給4%相当の「教職調整額」を2.5倍以上となる「10%以上」に引き上げることや、11時間を目安とする「勤務間インターバル」の導入などが柱。文科省は給与増に関し、来年の通常国会に教員給与特別措置法(給特法)改正案を提出する。
 調整額が引き上げられれば1972年の給特法施行以来、約50年ぶり。ただ、残業代がなく「定額働かせ放題」とも批判される現行制度が続くため、教員らから、長時間労働抑制につながらず、教職人気回復への効果は限定的との指摘も根強い。提言を抜本的な働き方改革につなげられるかが課題だ。  
提言には、負担の重い学級担任の手当加算や、管理職手当の増額も盛り込んだ。現在の「主幹教諭」と「教諭」の間に若手を指導する新ポストを設け給与面で優遇する。  
生活や睡眠の時間確保のため、終業から次の始業まで休息時間を明確にする「勤務間インターバル」の導入を推奨。
(共同通信 5月13日)

 1971 年に制定された給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)によって、月給の4%に相当する「教職調整額」を支給する代わりに残業代が支払われなくなった。その後、土日の部活動時間が増えて、顧問を務める教員の長時間タダ働きが常態化した。
 日本スポーツ協会の「学校運動部活動指導者の実態に関する調査」によると、スポーツ庁のガイドラインが定める活動時間を超過した割合は、中学の4割以上、高校の7割以上に及んだ。
 部活動の運営について、中学校学習指導要領は次のように定めている。
「学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意する こ と。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団ものとする。 体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする」
「持続可能な運営体制」を整えるには教員の負担増を改善しなければならないが、そのためには外部人材を起用するか、活動時間を減らすか、あるいは外部人材を起用した上で活動時間を減らすか。教職調整額の増額よりも、残業時間の削減に切り込んで医師の労働時間のように法的規制を設けない限り、教員の労働時間是正は一向に実現しないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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