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外国人材、中小で管理職に 海外からの調達リード

中小企業で外国人が管理職として活躍する例が目立ち始めた。語学力や人脈を生かし海外調達や販路拡大での活躍を見込んで登用する例が多い。日本で働く外国人材は2023年に初めて200万人を超えた。あらゆる業種で人手不足が深刻化するなか、外国人材を本社の要職に登用して人材確保を目指す中小企業が増えそうだ。
「品質を下げずにコストを削減できると、会社に貢献したとやりがいを感じる」。バルブ製造の極東製作所(北九州市)で、材料などの調達を担う張智沫(ジャン・ジス、44)購買課長は力を込める。
 鉄鋼大手のポスコや現代製鉄といった韓国企業との取引が増えるなかで採用された張氏。韓国向けの通関手続きなどをこなしつつ、インドネシアやブラジル、トルコ、ケニアなどで製鉄所や地熱発電向けのバルブを営業した。正確な仕事ぶりが桃山秀樹社長の目にとまり、2017年に当時は5人しかいなかった本社の課長に抜てきされた。
(日本経済新聞 5月10日)

 外国人社員の幹部登用についてダイバーシティ対応といった抽象論ではなく、メリットを明確にしないと採用の適否を判断できない。
経済産業省は外国人採用のメリットを4つに分類している。①外国語に堪能、かつ現地市場をよく知る外国人材を採用し、事業の海外 展開や新規顧客・販路開拓②日本人とは異なる新鮮な発想や視点を持つ外国人材が、商品開発に取組 み、各国の市場ニーズに合わせた商 品・サービスを提供。
さらn③海外現地法人と日本法人との時差 を利用することで、日本国内と海 外で業務の分業体制を構築するな ど、新たなビジネスモデルを創出。 作業効率も向上④外国人材の活動が日本人社員に新た な「気づき」を引き起こし、社員の意識改革や職場環境の改善、生産性の向上。
経産省がまとめた外国人採用事例を紹介しよう。乾燥装置メーカーの大川原製作所(静岡県榛原郡)は従業員数285名のうち、日本の大学院を修了した業界経験のある中国人や、他業界で実務経験を有するブラジル人など外国人5名を雇用している。外国人社員のなかから、中国現地子会社の社長および副社長に日本採用の中国人社員を登用した。
その結果、海外に販路を拡大して、中国市場での売り上げは1.7倍に増加したほか、欧州やインドの企業との契約も締結したという。採用目的と期待する成果を明確にすることが要諦である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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