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実質賃金、過去最長の24カ月連続マイナス 3月は2.5%減

厚生労働省は9日、3月分の毎月勤労統計調査(速報)を公表した。物価変動を加味した実質賃金は、前年同月より2・5%減り、24カ月連続のマイナスとなった。比較可能な1991年以降で、過去最長を記録した。
これまでの最長記録は、リーマン・ショックを挟んだ07年9月から09年7月の23カ月間。実際に受け取る名目賃金が下がった前回と異なり、今回は名目賃金が伸びているものの物価の上昇に追いつかない状況が続く。今年の春闘の賃上げ率は33年ぶりの高水準となったが、給与の反映には数カ月の遅れが生じ、実質賃金への影響が出るのは先になる見通しだ。  
名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比0・6%増の30万1193円で、22年1月以来、27カ月連続で前年を上回った。一方、原材料費の高騰や円安の影響で、食料品や日用品の価格は高止まりしている。3月の生鮮食品を除く全国消費者物価指数の伸び率は24カ月連続で日銀の物価安定目標(2%)を上回り、同2・6%上昇の106・8を記録。実質賃金のマイナス幅は2月の1・8%減(確報)から拡大した。
(毎日新聞 5月9日)

5%程度の賃上げ率では物価上昇のペースに引き離されてしまうのか。帝国データバンクの調査によると、2024年の値上げ品目数は10月までの累計で7424品目となり、年間の平均値上げ率は18%に達 した。
値上1回あたりの平均値上げ率は、5月 単月で31%。オリーブオイル製品や大型PETボトル飲料などの大幅な価格引き上げを背景に、単月としては22年以降初めて30%台を記録した。
値上げがつづくなかで、連合総合生活開発研究所が賃金と物価上昇幅の比較を調査した。調査対象は、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)と関西圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)に居住する民間企業に雇用されている男女20~64歳の2000人。
調査によると、賃金収入は正社員・非正社員ともに改善傾向がつづくものの、賃金の増加幅が物価上昇幅より大きいと回答した割合は6%台にとどまった。主生計支持者の非正社員は、男女とも赤字の割合が正社員に比べて高かった。
今後については、5年後の賃金が「高くなる」と回答した人は増加したが、3年後の物価は「かなり上がる」が3割台を占めた。賃上げと物価上昇はイタチゴッコのような関係で推移しそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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