2024/04/01
岸田文雄首相は22日、東京都内で開かれた日本商工会議所の通常会員総会に出席し、中小企業の持続的な賃上げを「政策を総動員して後押しする」と述べた。中小企業の人件費を大企業が取引価格に転嫁する取り組みを「わが国の新たな商習慣とし、サプライチェーン(供給網)全体に定着させる」と訴えた。
首相は今年の春闘で大企業を中心に大幅な賃上げが実現したことに触れ「コストカット経済から、賃上げと投資がけん引する成長型経済に移行するチャンスだ」と強調した。
(共同通信 3月22日)
今春の賃上げには若手に手厚い配分がされる傾向にある。厚生労働省が公表した「2023年の賃金構造基本統計調査」によると、賃金増減率は、大企業の20~24歳が3・0%、25~29歳が1・6%伸びたが、その一方で35~39歳は2・1%、40~44歳は0・6%、45~49歳は1・3%、50~54歳は1・2%のマイナスだった。
若手社員の意欲を引き出すことが賃上げの主眼であることがうかがえる。20代のうちは低い賃金を我慢するという伝統的な賃金体系の設計思想が修正され、伸びしろの小さい中高年世代の賃金を抑制する方針へと転換が図られている。
年功序列型人事が終焉したとはいえ、年齢とともに賃金が上昇する体系がいまもなお一般的だが、この体系もどんどん改められてゆくだろう。
若手厚遇策は医師の賃金も同様である。2024年度診療報酬改定で、医師の人件費などに充当する本体の改定率プラス0.88%のうち、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置として、 0・28%が充当される。
この措置について、医療関連学会の合同シンポジウムで「40歳以上の医師の賃上げはどうなるのか。分断されるのか」と不満を述べる医師がいたが、人件費を若手に手厚く配分するとなれば、やむを得ないのだろう。
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