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特定技能、5年間で最大82万人受け入れ見込み 外国人依存強まる

人手不足の産業で外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」を巡り、政府が2024年度から5年間で最大82万人の受け入れ見込み人数を試算していることが関係者への取材で判明した。19年の制度導入時に設定した5年間の受け入れ見込み人数の2倍以上の想定で、深刻化する人手不足を解消するため、外国人労働者に依存する傾向がさらに強まりそうだ。   
特定技能は在留期間が通算5年の「1号」と、熟練した技能が求められ、家族帯同で無期限就労が可能な「2号」がある。政府は23年8月、2号の対象分野を2分野から11分野に拡大。無期限就労が可能な別制度がある「介護」を含め、現行の全12分野で永住に道を開く仕組みを整えた。政府は「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加することも検討している。  
政府は19年の特定技能導入時に5年間の受け入れ見込み人数を最大34万5150人と設定した。新型コロナウイルスの水際対策で一時は伸び悩んだものの、23年11月末現在、20万1307人と増加傾向にある。  
今後5年間の受け入れ見込み人数は、追加が検討されている4分野を含めた計16分野で関係省庁が試算した。
(毎日新聞 3月4日)

 かりに特定技能の受入数が5年間で最大見込みの82万人に達した場合、どれだけ労働力を充足できるのだろうか。
リクルートワークス研究所の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」を参考にみていきたい。このレポートによると、2040年の供給不足の規模は、およそ現在の近畿地方の就業者数が丸ごと消滅する規模(近畿地方 の就業者数は2022年7~9月期平均で1104万人)に達する。これは特定技能の受け入れ数をカウントしていないが、82万人を確保できても1割に満たない。現実には最大受け入れ数の何割かにとどまるだろうから、特定技能はあまりアテにできない。
 リクルートワークス研究所の予測によると、労働供給は今後加速度的に減少し、供給量は、今後数年の踊り場を経て27年頃から急激に減少する。22年に約6587万人だった労働供給量は、現役世代人口の急減にともない、30年には約6337万人、40年には 5767万人へと減少していく。
一方、労働の需要量は、 今後もほぼ横ばいで推移する。40年までは高齢人口が減少せず、医療・福祉業、物流業、小売業など人手を介する生活維持サービス関連業種の従事者を中心に労働の需要量が増加する可能性が高いという。
DX推進による効率化でどこまで無人化が可能なのか。各分野で実験が進んでいく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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