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地方就職に関心持って 自治体、都内でインターン増員

首都圏の学生らに地方での就職に関心を持ってもらおうと、東京都内に事務所を設けている自治体がインターンシップを活発化させている。地元企業と連携し、公務員以外の仕事にも目を向けさせる取り組みも。郷土への愛着を深める狙いで、インターンの期間を長くして地域の関係者と触れ合う機会を増やす動きも出ている。
「人材派遣のイメージが強いと思うが、事務作業の代行やマーケティングも手がけている」。昨年9月、岡山県東京事務所職員に連れられた大学生2人が岡山市に本があるグロップの都内オフィスを訪れ、社員から事業説明を受けた。県出身で都内の大学3年、松岡文香さん(219は「営業の模擬体験ができ、民間で働く雰囲気も知ることができた」と満足した様子だった。
自治体の多くは主に中央省庁との調整や情報収集のため、都内に事務所を置く。同県は2022年に東京でのインターンを始めた。8~9月の3日間から5日間、学生は県への移住促進策を考えるグループワークなどをする。昨夏は地元企業だけでなく、同県の岡山と倉敷両市の東京事務所を訪ねる機会も設けた。
(日本経済新聞 2月13日)

首都圏で学ぶ学生の地方就職志向は高い。ただ、地方創生への関心よりも、慣れた地元での安定したライフスタイルを望む学生が多いようだ。
マイナビが2024年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生(計3924名)を対象に実施した調査では、地元就職を希望する学生は23年卒と同じ62.6%だった。
地元就職希望の理由は「両親や祖父母の近くで生活したいから 」「実家から通えて経済的に楽だから」「地元での生活に慣れているから」という。地元の活性化に関わりたいなど意欲的な動機ではなく、安寧を望む心づもりを年長者が聞けば、若いのに何とチャレンジ意欲が乏しいのかと慨嘆したくなるだろうが、公私にわたる安定志向は昔から珍しくなかった。
 調査結果について、マイコミは次のように分析している。
「コロナ禍以降の経済状況が不透明で求人倍率がやや低下してからは地元就職意向が高まっていると考えられる。現在は物価高などにより景気回復の実感が薄いことや、オンラインの普及により情報収集や選考参加しやすいことなどが、地元就職意向が高い水準を保っている背景にあると考えられる」
 就職希望の動機が何であれ、地方に新卒学生が就職することは好ましい。働いているうちに地元経済を何とかしようと意欲が芽生える若者も多い。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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