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経産省、「社外取締役のことはじめ」を公表

 経済産業省は25日、金融庁や東京証券取引所とともに社外取締役が知るべき内容をまとめた「社外取締役のことはじめ」を公表した。社外取が果たすべき役割や機能などの基本的な内容を整理して周知することで社外取の質を向上させ、日本企業の中長期的な企業価値向上につなげる狙い。
金融庁と東証がまとめたコーポレートガバナンス・コード(企業統治方針)や経産省の社外取締役ガイドラインなどから抜粋し、策定した。
社外取の役割として「経営の方針や改善について助言や監督をすること」などを明記した。
具体的な行動では就任時に企業と協議して社外取の使命を明確に認識することや、適切な議題を設定するよう取締役会に能動的に働きかけることなどを挙げた。
(日本経済新聞 1月26日)

 経営の知見をどこまで有しているのか疑わしいような人が、知名度をもっと社外取締役に迎えられる例が散見されるが、「社外取締役のことはじめ」に書かれた内容をクリヤできるのだろうか。
 このガイドラインには、社外取締役の5つの心得として①最も重要な役割は、経営の監督 中核は、経営陣の評価と指名・報酬②社内のしがらみにとらわれず、会社の持続的成長に向けた経営戦略を考える③業務執行から独立した立場から経営陣に対して遠慮せずに発言・行動④経営陣と、適度な緊張感・距離感を保ちつつ、信頼関係を築く⑤会社と経営陣・ 支配株主等との利益相反を監督――を示しているが、5つの心得の実行はそう簡単ではないだろう。
 実行するには相応の知識とスキルが必要で、「社外取締役のことはじめ」は「財務・会計・法務を含め、企業経営に関する基礎的な知識・知見等のミニマム・スタンダードとして必要な最低限のリテラシー」と明記したうえで、「不足を感じた場合は、研修・トレーニングも活用しながら、継続的に向上に努める」と強調している。
 だが、研修やトレーニングを受けてまで社外取締役に就任する人はいるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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