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全国建設業協同組合連合会、「勤務間インターバル宣言」に賛同

2024 年1月12 日に、中小建設企業の発展・向上ならびに労働環境の改善を目指す全国建設業協同組合連合会と働き方改革コンサルティングを手がけるワーク・ライフバランス(東京都港区) は、全建協連の「勤務間インターバル宣言」賛同に伴う記者発表を共同で行った。
インターバル宣言は、勤務終了時間から翌日の勤務開始時間までに一定時間の休息を確保する勤務間インターバルの制度導入に賛同する企業を22 年3 月からWLB 社が募集、43 社が賛同している。24 年4 月から働き方改革関連法が建設業にも適用になることを受け、全建協連は加盟企業の働き方改革を加速させ、社会課題の解決に向けた世論醸成に寄与するべくインターバル宣言に賛同するに至った。
全建協連は、23 年12 月に実施した「働き方改革実現に関するアンケート調査」の結果を公表、勤務間インターバル制度導入の障壁の第1位は「技術者が書類作成等で残業した場合、翌日の始業時間を遅らせることになるが、技術者の専任制度から現場全体の始業を遅らせることになり工事が遅れてしまう」(76.276.2%)、第2 位は「繁忙期には技術者が休息時間(インターバル)を確保するのは難しい」(71.471.4%)で、建設業界の技術者の専任制度の緩和や施工時期の平準化といった課題が浮き彫りとなった。
(ワーク・ライフバランス作成ニュースリリース 1月15日)

勤務間インターバル制度の目的は、適切な睡眠時間を確保して、心身の疲労を解消することである。その成果は業務中の集中力を維持し、生産性が向上する。労働災害が起きやすい建設現場では安全確保に直結する。
EU各国ではインターバル時間が11時間に定められ、日本でもこの時間に追随する流れにあるようだ。だが11時間のうち、睡眠が7時間、通勤が往復で1時間、朝食・夕食・入浴で1時間とすれば、自由時間は1時間しか残っていない。これで十分かどうかはともかく、導入している企業は睡眠時間の確保を優先的に考えているので、現状では及第点なのだろう。
全国建設業協同組合連合会の青柳剛会長は「建設業界では、2024 年4月からの時間外労働の上限規制をきっかけに、持続可能な建設業へと踏み出すための具体的な方策を産官一体となって呈示しなければならない大事な時期をむかえ、「コスト、工期に生産性の向上」を含め発注者と一体となることがポイント」とコメントする。
現場の完全確保と生産性向上に取り組むには、下請け企業にも勤務間インターバル制度を普及させ、現場従事者の全員が心身の健康を維持できる体制を整えることが必要だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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