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日看協、介護領域に従事する看護職員確保を要望

日本看護協会は3月19日、厚生労働省 の間隆一郎老健局長に令和7年度予算・税制等に関する要望書を提出した。
高齢・多死社会を迎える中、医療・介護の 複合ニーズを抱える介護保険利用者が急増し ている。地域での在宅療養を最期まで支えるためには、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、介護施設などの看護サービスの整備・拡充が必要である。そのため、本 会は介護領域で働く看護職員の確保・定着が 喫緊の課題であるとして、一層の処遇改善や 職場環境整備に向けた財源の確保などを強く求めた。
高橋会長は「介護領域では、医療と生活の質の両面で看護の力が必要だ」と指摘。暮らしの場での療養継続支援や緊急時の対応のため、専門看護師や認定看護師など専門性の高 い看護師の活用促進を訴えた。間老健局長も「人材を大事に、定着促進していくことが必要だ」と応じた。
間老健局長は、在宅領域では小規模の事業所が多いことから「事務のアウトソースや協 働化を進めることが重要。令和5年度補正予算で、小規模事業者を含む事業者グループが 協働して行う職場環境改善などへの補助金を用意している」とも述べた。
その上で 補助金を活用して事業所の大規模化を図ることやナースセンターによる就業支援についても触れ、「人材の確保・定着は一丁目一番地だと考えている」と理解を示した。
(日本看護協会作成ニュースリリースを要約 3月26日)

介護職不足はもはや外国人材に頼らざるを得ない事態に至っているが、看護師不足もまた深刻である。
厚生労働省の推計によると、2025年までに必要な看護師数は188〜202万人だが、25年の看護師数の見込みは175〜182万人で、最大で27万人もの看護師が不足するという。25年まで1年しか残されていないので、この不足数は埋めようがない。
看護職員の就業場所は病院と診療所が多いが、近年は、訪問看護ステーションや介護保険施設での増加割合が高くなっている。介護施設は医療機能の強化が求められているので、看護師の需要はますます高まってゆく。
同時に在宅療養へのシフト政策に伴い、訪問看護ステーション、看護小規模多機能、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の開設促進に政策が向かっているは、看護を確保できないと、この分野の拡充が足止め状態になってしまう。
いまさら言及することでもないが、看護師確保は採用だけでなく離職防止が鍵だ。日本看護協会の調査によると、看護職員の離職理由は、ライフステージと密接に関連する傾向がある。30代・40代では「結婚」「妊娠・出産」「子育て」が多く、50代では「親族の健康・介護」が多い。20代では他の年代と比較して「自分の健康(主に精神的由)」が多い。他の職業と同じである。家庭との両立策を職場が講ずる以外にない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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