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ソニーG「大学」国際化 幹部育成、海外勤務者中心に

ソニーグループは将来の幹部層を育てる「企業内大学」を刷新する。2024年度から受講生の7割を海外勤務者とする新体系に全面移行する。ゲームや音楽など海外に本拠を置く事業が成長する中、これまでの日本中心の体制を変える。
ソニーGは企業内大学「ソニーユニバーシティ」を2000年に始め、国内の企業内大学の先駆けとなった。受講生は部長級・課長級・係長や主任級の3階層に分けている。経営陣や社内外の有識者らが講師となり、約半年で経営者に求められるリーダーシップなどを学ぶ。
24年度は全体で約140人が参加する見込みで、約7割の約100人を海外向けにする。従来は国内からの参加者が大部分を占め、21年度から段階的に海外向け増員を始めた。23年度からカリフォルニア大学バークレイ校、22年度のスペインのIESEビジネスジャーナルを含め米国と欧州の有力ビジネススクール計3校と提携した。
(中略)
 企業内大学はOFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング、職場外教育)の一種で米ゼネラル・エレクトリック(GE)が始めた社内のビジネススクールが起源とされる。
(日本経済新聞 12月21日)

 企業内大学の設立が進む背景は、人的資本経営の実施に迫られているからだ。
2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂で人的資本の可視化に関する記載が盛り込まれ、022年には、内閣官房が人的資本情報開示の参考指針として「人的資本可視化指針」を公表。「人的資本の可視化の前提は、人的資本への投資に係る、経営者自らの明確な認識やビジョンが存在すること。ビジネスモデルや経営戦略の明確化、経営戦略に合致する人材像の特定、そうした人材を獲得・育成する方策の実施、指標・目標の設定などが必要」と示した。
さらに23年3月期決算から、有価証券報告書で人材育成や社内環境整備に係る方針、女性管理職比率、男女間賃金格差等の開示が求められた。
人的資本経営コンソーシアム(会長=伊藤邦雄一橋大学CFO教育研究センター長) が選出した人的資本経営の好事例のひとつ、旭化成は、新事業創出や事業の強化に向けて専門人材の確保を重視。 事業の拡大や創出に必要な領域で社内外に通じる専門性を持つ人材を「高度専門職」に認定し、マネジメントを担う社員と同等の水準で処遇している。 
さらに領域ごとに後継者計画を作成して計画的に育成。専門人材が必要な領域は、事業計画に応じて毎年見直しを行い、機動的な人材確保を試みている。
 かなり重層的な取り組みで、どんな社員でも第一級の人材に磨き上げられる印象だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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