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「人間は老化、バトンタッチを」ファーストリテイリング柳井正氏

――9月に就任した塚越大介氏ユニクロ社長を後継者の「有資格者」としました。10年後の経営体制はどうなりますか。
「できたら(自分が)やりたいけど、人間はやはり老化する。この年になったらいついなくなるか分からない。自分の体調と与えられた使命を考えて、バトンタッチしないといけない。サクセッションプラン(後継計画)は着々と進めている」
「私のようにオーナー、取締役議長、最高経営責任者(CEO)をずっとやる『オールマイティー』な人はもういない。周囲には『絶対に僕のようにはなるな』と言っている。私の息子2人には『おまえたちは社長にはなれない。その代わりガバナンス(企業統治)を効かせて正しい人材を選んでくれ』と伝えている」

 ファーストリテイリングは後継者問題で耳目を集めている企業のひとつ。同社の社外取締役はこの問題をどう見ているのだろうか。同社発行のレポートに掲載された座談会で、社外取締役と社外監査役が言及している。
・社外取締役の新宅正明氏(元日本オラクル会長)
「上席執行役員が複数人、どんどん増強されながら、適格な社員が昇格しています。そういうリーダーシップを発揮できるグループが存在しています。次の経営体制の母体になる人材がいる、ということです。カリスマリーダーが経営していた、昔ながらのユニクロの経営体制は、すでに変化を遂げています。(中略)今いる経営陣がチームとなって、つかさどる体制になると思います。誰かがリーダーになり、それを支えるチームができあがることが想定されます」
・社外監査役の金子圭子氏(弁護士)
「次の体制に直接関連する議論ではなくても、 重大な議題は、必ずサクセッションと関連しています。 重大な議題の多くは、人事体制だったり、組織改編だったり、新しい部署の新設だったり、未来の体制に関連 しているので、次の体制を意識しながら、こういうことを提案していらっしゃるな、というのがわかります」
 会社発行の媒体なので好意的な発言しかしないのはやむを得ないが、チーム経営を率いていける経営人材は揃っているのだろう。ファーストリテイリングの規模がもっと小さければ経営者の交代を実行できたのかもしれないが、拡大をつづけるにつれて次期経営者への要求水準がどんどん高くなり、交代のハードルが上がってしまったのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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