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来たれナース 条件を明示 川崎市医師会、ネットで募集

川崎市医師会がホームページで市内の医療機関で働いてくれる看護師ら医療人材の募集を始めた。神奈川県は看護職の離職率が東京都と並んで高く、人材を確保できないために閉院する病院も現れている。時給や月給を明示するなど潜在的な人材に関心を持ってもらえるよう対策を急ぐ。
川崎市を代表する産院が6月末、約60年の歴史に終止符を打った。JR南武線・小田急線の登戸駅近くの鈴木産婦人科だ。2000年以降は年間1000人以上の新生児が産声をあげ、市内の出生数の1割を占めていた。経営していた鈴木真医師は「建物の老朽化もあったが、看護職や医師を集めるのが大変だった」と理由を明かす。
働いていた看護職は約30人。昼夜を問わず陣痛、出産に備える必要があり、負担は重い。募集を続けても「労働条件の良いほうに流れていってしまった」(鈴木氏)
22年度のハローワーク川崎での看護職を含む職種「保健師・助産師等」の有効求人倍率は3・13倍で、全体平均の1・21倍を大きく上回った。他の職種に比べ人材確保の難しさは明らかだ。
(日本経済新聞11月15日)

求職者が幅広い年齢層で増加し、「55~59歳」「60歳以上」では2020年度比で1.5倍以上増加したという。日本看護協会は2022年度の都道府県ナースセンターの登録データを集計・分析して求職・求人の動向を発表した。
都道府県ナースセンターは、都道府県知事からの指定を受けて都道府県看護協会が運営し、全国91カ所(うちサテライト・支所44カ所)で、看護職の無料職業紹介事業や潜在看護職の復職支援事業を実施している。
 看護職として就業中の求職者が考える退職したい理由は、全体では大きな変化はなく、「24 歳以下」では「自分の健康(主に精神的理由)」が 20.3%で最も多かった。退職理由に符号するように、求職者が就職の際に重視する条件で、全体で最も多いのは「勤務時間」 20.0%だった。次いで「給与」16.2%、「看護内容」14.4%、「通勤時間」14.1%、「休暇」9.1%の順だった。
 一方、人手不足は深刻である。221年度と比べて、全ての雇用形態で求人倍率が上昇した。雇用形態別の求人倍率は、「常勤」2.50倍、「非常勤」1.62倍、「臨時雇用」 0.52倍の順。看護職の雇用問題では給与にスポットが当たりがちだが、勤務時間が問題視されていることが明らかになった。医師だけでなく看護師の働き方改革も必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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