2023/10/25
IT(情報技術)などのスキルを持つ外国人材を生かそうとする日本企業が増えてきた。ただ文化の違いややりがいなど、一人の働き手として定着してもらうためには課題もある。先進企業は働き方や評価制度を柔軟に見直したり、海外からの就労も認めたりするなど工夫をし、入社からわずかな期間で組織の核となってマネジメント職に昇進する事例も出てきた。外国人材に長く活躍してもらうためのカギを探った。
三井情報(東京・港)のDX・CX技術本部DX技術部では、フォークリフトの遠隔管理システムを開発するチームメンバー12人のうち、4人が外国から来たIT人材だ。「外国人の定着にはチーム内である程度意見や悩みを共有しやすいことが重要。そのため3羽い以上の人数が必要だと感じてきた」と尾松智裕部長は話す。
外国人材をチームに入れるようになったのは2018年ごろから。ただ当初は日本人と同じ指示をすると、違うものができあがるなどの混乱もあった。「組織の指示が曖昧だったと気づいた。指示の出し方を見直したり、文書化を進めたりした」(尾松部長)。
(日本経済新聞 10月16日)
外国人社員の定着を図っている企業にザ・プラント(東京都港区)を紹介しよう。この会社は日本人社員のなかに外国人社員が在籍するのではなく、社員72人の9割以上が外国人で、国籍数は10カ国近くに及ぶ。
文字通りの多国籍企業で、これだけの国籍になると社員の入れ替わりも多いのではないかという印象もあるが、離職率は5%以下にとどまっている。
同社の設立は2005年。名古屋大学講師などを務めた米国出身のアナトール・ディビッド・ヴァリン氏(現CEO)が立ち上げた。事業内容は、Eコマースシステム・コンテンツマネジメントシステム開発、デジタルマーケティング、パーソナライゼーション、モバイルアプリ製作。
職場環境は、当初から昼食時間などの設定が自由で、社員がフレキシブルに時間を使えるようにしている。各国の習慣も尊重し、採用面接で中国人は昼食後にお昼寝タイムを要求し、イスラム教徒の人は毎日2時間のお祈りタイムを要求してきたが、入社後にすべて受け入れている。
さらに10カ国近くの社員に能力を発揮させるために、異論反論も自在に受け入れて業務に反映させるなど、心理的安全性の確保にも注力しているという。
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