2023/09/06
ファーストリテイリングは28日、子会社のユニクロでグローバルCEOを務める塚越大介取締役が社長兼最高執行責任者(COO)に就任すると発表した。親会社のファーストリテイリングの後継者問題が取り沙汰される中、次世代のチーム経営体制強化の一環としている。
発表資料によると、異動予定日9月1日で現会長兼社長の柳井正氏は会長兼最高経営責任者(CEO)となる。柳井氏は親会社であるファーストリテイリングの会長兼社長として、引き続きグループ全体の経営の意思決定や経営執行を担うという。
塚越氏は武蔵工業大学(現東京都市大学)卒業後、02年に新卒でファーストリテイリングに入社。中国事業の最高執行責任者(COO)などを歴任してきた。ユニクロノースアメリカのCEOも務め、北米事業の強化などを任されてきた。
父親から引き継いだ洋品店を世界的なアパレル企業に育て上げ、来年2月に75歳を迎える柳井氏については、ソフトバンクグループの孫正義社長などと並んで後継者問題が注目されている。柳井氏は19年9月のブルームバーグとのインタビューでは自身の後継者に女性を起用する可能性があると述べていた。
(ブルームバーグ 8月28日)
柳井正氏はさる8月20付け日本経済新聞に掲載されたインタビュー記事で、後継者の起用について「次も創業家の人が最高経営責任者(CEO)になったら社員は夢がなくなるでしょう」と語っている。
そのうえで「ファストリは個別具体的な目標を定めて達成できる強いリーダーシップを取れる人を求める」と述べ、後継者の条件を挙げた。
「知的好奇心があって会社をよくしようと思ってくれる人、自分の職責ではなく全社最適で考えて仕事を実行できる人がいい。会社の考えに共鳴してくれることも必要だ。ただ、外部から引っ張ってきても、会社の文化に合わなかったら力を発揮することはできない」
創業家以外の内部昇格で選ばれたのが塚越大介氏である。柳井氏が選んだのだから相当な実力者なのだろう。
塚越氏が実績を上げれば、カリスマ創業社長の後継人事としてモデルケースになり得る。それだけでなく、後継者問題に悩む中小企業の創業社長にも、有効なヒントを与えるのではないだろうか。
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