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高齢者の53%、就職できず リクルート調査、企業及び腰

60~74歳の就職希望者のうち53.7%が、仕事探しをしても見つかっていなかったことがリクルートの調査で分かった。企業が特段の理由がないのに採用に及び腰になっていることが主な要因として浮かんだ。
 調査では60~74歳の就労希望者で、仕事に就いていない人に過去5年の就職活動について尋ねたところ、「仕事が見つからずに探している」が24.0%、「見つからずにやめた」が21.8%、「仕事探しを始めたばかり」が7.9%で、計53.7%が仕事探しをしても仕事が見つかっていなかった。  
調査は今年2~3月にインターネットで実施。60~74歳の6千人と企業600社から回答を得た。
(共同通信 8月10日)

高齢者をたんなる「人手」として扱うのなら、体力が劣る分、戦力としての価値は若年層と同等か、あるいはそれ以下かもしれない。企業が高齢社員に求めるのは経験に由来する付加価値である。
2008年のデータだが、労働政策研究・研修機構の調査で、55歳以上の労働者を中途採用した理由を尋ねたところ、「経営管理職は「経営幹部の確保」が最も多く、その他の職種では「高い技能・技術・ノウハウの活用」が最も多かった。いまでも変わらないだろう。
一方で、55歳以上を採用しなかった理由は「希望する職務能力上の要件を満たしていなかったから」が73.6%と最も多かった。調査を実施した08年当時はリスキリングという言葉は使われていなかったが、ITスキルは高齢社員にも必須要件になっていた。
前職ではIT使用を部下に任せていても、転職先ではみずから使用できなければ即戦力になり得ない。
さらに不採用の理由は「体力・健康面に不安があったから」が 37.2%、「会社になじめるかどうかが心配だったから」が20.7%、「給与・賞与といった処遇面にこだわりすぎたから」 が13.1%とつづいた。
ITスキルを保有し、体力と健康に不安がなく、会社になじめる柔軟性をもち、処遇にこだわらない――そんな理想的な高齢社員はめったに見当たらない。計画的に採用したいのなら、少しハードルを下げたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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