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引き上げ目安の審議開始 1000円目前、上げ幅焦点 最低賃金

厚生労働省は30日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)を開き、2023年度の最低賃金改定に向けて引き上げ額の「目安」に関する審議を始めた。
 物価高騰が継続する中、前年を超える大幅な引き上げで、岸田政権が目標に掲げる全国平均1000円に達するかが焦点。7月下旬にも議論が取りまとめられる見通しだ。  
最低賃金は、企業などが労働者に支払わなければならない最低限の時給で、都道府県ごとに設定されている。22年度の全国平均は、引き上げ額が過去最大の31円(約3.3%)で、961円となった。今回の改定で1000円に届くには、39円(約4.1%)の引き上げが必要になる。  
中央最低賃金審議会では、有識者と労働者、経営者それぞれの代表の三者が協議。各都道府県を三つのランクに分け、それぞれ引き上げ額の「目安」を提示する。ランク数は、格差是正を図るため、前年度までの四つから一つ減らした。目安を参考に、都道府県ごとの地方最低賃金審議会で新たな最低賃金の額を議論する。
(時事通信 6月30日)

 賃上げの焦点は中小企業の賃上げ環境をどう創出するか。中央最低審議会の議論は「経済財政運営と改革の基本方針 2023」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 」に沿って行われる。       
「経済財政運営と改革の基本方針 2023」は、賃上げ原資の確保策として①適切な価格転嫁が行われるよう取引適正化の促進を強化する②労務費の転嫁状況を業界ごとに実態調査を行ったうえで、労務費の転嫁のあり方について指針を年内にまとめる③業界団体に自主行動計画の改定・徹底を求めるほか、「価格交渉促進月間」の取組みや価格交渉の支援を行う。
「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 」は、中小・小規模企業の生産性向上支援策の推進を示し、中小・小規模企業が従業員をリ・スキリングに送り出す場合、個人の主体的なリ・スキリングであっても、賃金助成等の支援策の拡充を検討することを挙げている。
最低賃金は地域間格差の解消も課題である。地方への労働力移動を促すには賃金水準の向上が必須だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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