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就職お祝い金、求人メディアにも規制拡大を検討 厚労省部会

厚生労働省は29日の労働政策審議会の部会で、求人メディアなどを展開する募集情報等提供事業者が転職する人に「就職お祝い金」を渡すことを禁じる検討を始めた。転職を勧奨しかねないためで、現在は有料職業紹介事業者などにとどまっている規制対象を広げたい考えだ。
 祝い金として数万円程度の金品が支給されたケースがあり、厚労省は21年4月施行の職業安定法の指針改正で有料職業紹介事業者らを対象に祝い金を禁止した。ただ、転職経路の3割強を占める募集情報等提供事業者は対象外だったため、厚労省は規制の対象に含めることを検討する。事業者側に慎重な意見があるため、労使の代表で構成する部会で議論を重ねる。
(毎日新聞 5月29日)

 そもそも人材紹介会社がなぜ転職者に祝い金を贈呈するのか。祝い金という言葉を用いれば聞こえは良いが、要は「紹介手数料を稼がせてくれてありがとう」という趣旨でのバックマージンである。
祝い金を目当てに転職を繰り返す求職者がどれだけいるのかはともかく、なぜ求職者が紹介会社に祝ってもらうのだろうか。良し悪し以前に違和感を禁じ得ない金銭である。
厚生労働省が発表した医療等3分野(医療、介護、保育)の集中指導監督実施状況(令和6年5月時点)によると、お祝い金に関する指導事例は25件。内訳は「面接実施時に電子ギフトカード(数千円)を支給」「 知人を紹介した人、紹介されて求職登録した人それぞれに対して旅行券(数万円)や電子ギフトカード (数千円)を支給」「資格取得費用又は研修講座受講費用(数万円程度)のキャッシュバックを実施」「紹介により就職し一定期間後にアンケート回答した 場合に支給(数万円程度)」「求職登録し就職した者を対象とした無料宿泊券の支給」。
これでは健全な人材紹介業とは思えない

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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