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三菱UFJ銀行、全行員を「プロフェッショナル職」に

三菱UFJ銀行は2024年度から25年度にかけて、人事制度を刷新する方針を固めた。職務内容に応じて評価・処遇する「ジョブ型」を一部で導入する。総合職や一般職といった垣根を解消し、全行員をプロ人材とみなして事業領域や勤務地を選びやすくする。
 関係者への取材でわかった。銀行経営が多角化していることを踏まえ、より専門性を重視した制度が必要だと判断した。労働組合と協議し、26日までに合意した模様だ。
 ジョブ型の導入では、デジタル金融サービスといった専門性の高い分野に従事する行員のための資格「Ex」を24年4月に新たに設ける。原則、事業領域をまたぐ人事異動の対象にならない。職務内容を定義した「ジョブディスクリプション(職務記述書)」に基づき、職務実績をもとに評価、処遇を決める。
 25年4月からは、総合職といった採用コースの垣根を取り除き、全行員を新設する「プロフェッショナル職」に位置づける。部門をまたぐ人事異動は維持するものの、勤務経験を通じて行員が得た能力や専門性を重視して評価、処遇する制度に切り替える方針だ。(読売新聞オンライン 4月26日)

あるPR会社はメガバンクの社内コミュニケーション体制の刷新を委託されている。同社幹部によると「メガバンクは離職率が高いことから職場の風土が良くない。そこで社内コミュニケーションを改善する体制とツールを企画している」という。
 定着促進策を展開しつつも、いまの時代、一定の離職は避けられない。その前提で人事を行なうには、ジョブディスクリプションを作成して、採用や異動を柔軟に実施できる体制が必要なのだろう。
 加えて専門スキルの強化である。メガバンクにとって全行員がプロフェッショナル職であるのは、いわば当然の姿であろう。金融庁は事業会社の資産運用担当者にも専門スキルを求めているのだから、金融機関の社員はそれ以上のスキルが必須である。
 ちなみに金融庁は「資産運用業高度化プログレスレポート 2023」で、事業会社について
「本業と資産運用に親和性がなく、組織内の人事ローテーショ ンで、確定給付企業年金(DB)の運用担当に資産運用の経験がある人材を配置することが難しい」と指摘した。
そのうえで運用体制を手厳しく批判した。
「人事部や財務部の出身者等で資産運用の経験のない人材が DB の運用担当者になる。成果報酬等の個人へのインセンティブ付けもないため、損失を出した際の非難をおそれ、担当者によっては、過度にリスク回避的になる」
 メガバンク行員に対しては、どんな評価をしているのだろうか。
 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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