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新卒「争奪戦」で内定辞退増加、オワハラ防止の動きも 人材確保課題に

新卒採用が争奪戦の様相を呈している。複数の内定を獲得する学生が増え、内定辞退も続出しており、企業は人材の確保が大きな課題となっている。企業が就活を終えるよう強要する「オワハラ」を防止する動きも進むなか、いかに内定者をつなぎとめるか、企業努力が試されている。
リクルートの調査では、2024年卒業の新卒採用で、今年4月1日時点の大学生の就職内定率は48・4%と前年同日より10・3ポイント上昇した。
リクルートの研究機関、就職みらい研究所の栗田貴祥所長は、企業は非常に高い求人意欲があると指摘し、「労働力人口の減少という問題が目の前にある中で、新型コロナウイルス禍からの回復局面に乗り遅れたくないとの意図もある」と推察する。就職活動のオンライン化が進んで応募しやすくなり、選考の効率化が進んだことも選考の早期化につながっているという。
複数の内定を獲得する学生が増え、1人が内定を取得した企業数も2社以上が47・5%で前年より2・8ポイント増加。さらに、1社以上内定を辞退した学生は33・1%と前年同月より4・2ポイント増えた。
(産経新聞 4月17日)

 内定辞退を防いでいる企業は、内定者とさまざまな方法でコミュニケーションを継続している。結構な手間を要するという。その手間を省くための安易な手段としてなのか、それとも目論見通りの結果が出ると思っているからなのか。オワハラ問題がいっこうに改善されていない。
 政府も対策に乗り出した。今年4月、経済団体・業界団体等の長に対して、文書を発出してオハハラを侵さないように要請した。「就職をしたいという学生の弱みに付け込んだ、学生の職業選択の自由を妨げる行為(い わゆる「オワハラ」)が確認されています」と指摘。「付け込んだ」とは政府文書にしては厳しい表現だ。
 要請内容は以下の通りである。
「正式な内定前に他社への就職活動の終了を迫ったり、誓約書等を要求したりする ことや、内(々)定期間中に行われた業務性が強い研修について、内(々)定辞退後 に研修費用の返還を求めたり、事前にその誓約書を要求したりすることなど、採用選考における学生の職業選択の自由を妨げる行為を行わないよう徹底すること」
 しかし罰則規定を設けない限り、オワハラはなくならない。政府の「要請」におとなしく従うほど企業は従順ではない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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