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医療・介護で人材紹介会社への対策を検討 政府方針

医療・介護の現場で人材紹介会社への不満が高まっていることを受け、政府は対策の検討に乗り出す。
 14日の規制改革推進会議のワーキンググループ(WG)で、内閣府や厚生労働省が次のような問題意識を共有。人材紹介会社の質の向上や適正な競争の促進を図る方針を確認した。
「手数料が高騰しており、これが早期離職や人材紹介会社の不当な行為と相まって、公費に依存する介護事業者らの経営を圧迫し、賃上げや生産性向上への投資を困難にすることで、一層の人材不足を招来する悪循環を招いていると指摘されている」
まずは悪質な人材紹介会社への対策を強化する。現行の指針では、
○ 自らあっせんした就職者に就職後2年間は転職勧奨を行ってはならないこと。
○ お祝い金制度は「好ましくない」こと。社会通念を超えた金銭の提供は「行ってはなら 
ない」こと。
などが記載されているが、こうしたルールを遵守させる規制を検討していく。求人者への手数料の明示を徹底させる仕掛けの導入も俎上に載せる。
(JOINT介護ニュース 4月15日)

医療機関や介護事業者の採用担当者に聞くと、多くは「人材紹介会社は利用したくないが、看護師と介護士は採用難なので利用せざるを得ない」と紹介会社の利用は苦肉の策である現状を打ち明けてくる。
とくに地方では求人広告を打っても、ほとんど成果を得られないケースも珍しくない。
手数料負担だけが問題なのではない。中小病院の看護師長は実態をこう話す。
「紹介会社経由で就職した看護師に対して、3カ月後や6か月後に紹介会社の担当者がフォローの電話をかけてくる。それ自体は自然な行為で問題はないが、電話では新しい職場で困っていることも聞いてくる。そこで助言するだけならよいのだが、『じつは、あなたにもっとふさわしい求人が出ましたよ』などと話して、転職を促してくることもあったと聞かされた」
 さらに依頼主側の業務を理解しないまま人材を紹介してくる会社も少なくない。訪問看護ステーションの採用担当者の見解を聞こう。
「訪問看護ステーションだけ運営している事業者と、定期巡回随時対応訪問介護看護と一体的に運用している事業者とでは、看護師の働き方が全く異なる。だからヒヤリングをしたり、現場を視察したりしないと人材スペックを把握できないが、それを怠っている紹介会社がほとんど。だからスペックに合う看護師を紹介してこない」
 このステーションはヒヤリングに訪問してくる2社に限定してオーダーを出しているという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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