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地銀、副業可が半数超 人材確保図る

全国で社員の副業を認める地方銀行が増えている。全国地方銀行協会の調べでは加盟行の半数以上の地銀が家業の手伝いや経営コンサルティングといった副業を認めている。地銀では若手や中堅の離職が増えているケースもあり、副業を認めて優秀な人材を確保する狙いがありそうだ。外部の知識やスキルを吸収すれば本業にも生かせるが、労務管理のあり方など課題もある。
地銀協によると、2022年11月時点で加盟行62行のうち半数を超える32行が副業を制度として認めている。検討中としている銀行も含めると7割強が副業の導入に前向きな姿勢を示している。
めぶきフィナンシャルグループ(FG)傘下の常陽銀行は22年11月、全社員を対象に雇用契約を結ばないかたちで副業を認める制度を導入した。現在、スポーツの審判員や実家の手伝いなど約15人が精度を活用しているという。
(日本経済新聞 3月23日)

いまもなお副業を禁止している企業は、禁止の理由に情報漏洩や本業への支障、労働時間管理などを挙げるが、ホンネは違うのではないのか。上場企業が次から次へと副業を解禁しているが、中小のオーナー企業に副業禁止を継続しているケースが多いようだ。
社員に対する支配欲求の強さが副業禁止の根底にあるのだろう。大手企業の例だが、この現状を批判するような副業解禁の事例がある。
2018年4月に解禁した新生銀行は、解禁の趣旨について①会社は従業員そのものは「支配」していない。指揮命令権はあくまで「業務成果(パフォーマンス)」に関係するから行使するもの②会社での労務提供と関係のない「社外」活動は、本来的に会社が制限することなく、従業員が自己の責任の下で自由に行うべきもの③会社は、従業員の資質・プライベートを全てを把握できていないし、気持ち・向き不向きも正確に理解してはいない――と明記した。
雇用関係の実態を率直に示した内容だ。この認識を経営幹部で共有できるかどうか。支配欲求の強いオーナー経営者には否定する人が少なくなく、それが副業禁止に固執する要因なのだろう。だが、時流に抗う姿勢をいつまで保てるのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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