2023/02/23
人的資本経営を後押しする新興企業のサービスが広がってきた。人事管理システムを手掛けるプラスアルファ・コンサルティング(PAコンサル)は顧客企業で活躍する社員の特徴を分析し、優秀な人材の採用につなげるサービスを始める。人的資本は有価証券報告書での情報開示が義務化される予定で、投資家からの注目度は高い。新興勢の商機は拡大している。
PAコンサルのサービスは、顧客企業の社員に「他人との競争は好きだ」「細かいところまで気がつく」といった80問程度の質問に答えてもらう。協調性や積極性、ストレス耐性といった特性を点数化し、営業成績などが優れた社員に共通する傾向を分析する。
(中略)
株式市場では投資の判断材料として関心が集まる。米証券取引委員会は2020年に人的資本情報の開示を義務化。日本では23年3月期の有報から開示を義務付け、政府は女性の管理職比率や男女間の賃金格差などの公開を促している。(日本経済新聞 2月15日)
経営学者の伊丹敬之氏が著書『人本主義企業』でヒトを資本と捉える人本主義経営を提言したのは1987年。バブル経済の真っ只中だった。従業員主権、付加価値の分散などを述べたが、バブルの熱狂でどれだけの経営者に響いたのか。
その後、2008年に経営学者の坂本光司氏が著した『日本でいちばん大切にしたい会社』は第8巻まで刊行されるベストセラーだが、坂本氏が事例を取り上げる基準は人本主義の実践である。それだけビジネス界に受け入れられたのだ。
深刻な人手不足が背景になったのかどうか、国も人本主義に動き出す。内閣官房非財務情報可視化研究会は2022年6月に発表した「人的資本可視化指針 (案)」で、人的資本の可視化について企業・経営者に次のように求めた。
「 経営層・中核人材に関する方針、人材育成方針、人的資本に関する社内環境整備方針などについて、自社が直面する重要なリスクと機会、長期的な業績や競争力と関連付けながら、目指すべき姿(目標)やモニタリングすべき指標を検討し、取締役・経営層レベルで密な議論を行った上で、自ら明瞭かつロジカルに説明すること」
この3月から開示が義務付けられる項目は「リーダーシップ」「育成」「スキル/経験」「ダイバーシティ」「非差別」「育児休業」「精神的健康」「身体的健康」「安全」「労働慣行」「児童労働/強制労働」「賃金の公正性」「福利厚生」「組合との関係」「従業員の満足度」「採用」「維持」「サクセッション」――この19目である。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。