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ファストリ、年収を最大4割上げ 国内従業員、初任給30万円に

カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは11日、国内のグループ従業員の年収を最大で約4割上げると発表した。海外に比べると低い水準にとどまる国内の給与を高め、能力に見合った給与体系にすることで、優秀な人材の獲得にもつなげる。改定は3月に実施する予定だ。
  具体的には新入社員の初任給は現在の25万5千円から30万円に引き上げる。入社1~2年目で就任する新人店長は、月収29万円を39万円とする。その他の従業員も数%から約4割の範囲でアップさせる。
ファストリは昨年9月に国内のパートやアルバイトの時給を引き上げていた。(共同通信 1月11日)

ファーストリテイリングによると、職種・階層別に求められる能力や要件を定義し、各従業員に付与している「グレード」の報酬水準をアップする。同時に、フラットで機動性が高い組織運営の実態に沿うよう、従来の役職手当などは取りやめ、それぞれの報酬は、基本給と各期の業績成果によって決まる賞与などによって構成するという。
 岸田文雄首相は賃上げを呼びかけているが、企業業績は好調である。財務省が実施した
2021年度法人企業統計調査によると、売上高は対前年度比6.3%の増で4年ぶりの増収。経常利益は前年度比33.5%の増益で、過去最高を記録した。
 その一方で労働分配率が低下した。コロナによる経済活動の停滞を受けて、人件費の減少に比べて付加価値額の減少が上回ったために上昇傾向にあったが、21年度は対前年度比2.6%減と4年ぶりに減少。大企業が最も低く52.4%となった。
 労働分配率の目安は業種によって違う。賃上げを呼びかけるさいには賃上げ率を示すだけでなく、さらに踏み込んで業種別に労働分配率の目安を示したらどうだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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