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実質賃金、8年ぶり下落率 昨年11月、3.8%減

厚生労働省が6日発表した2022年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価上昇を加味した実質賃金は前年同月比3.8%減で、8年6カ月ぶりの下落率となった。マイナスは8カ月連続。物価高に賃金の伸びが追い付いていない状況が深刻化している。今年の春闘での賃上げが焦点となる。
 基本給や残業代などを合わせた現金給与総額(名目賃金)は0.5%増の28万3895円だった。プラスは11カ月連続だったが、22年で初めてプラス幅が1%を割り込んだ。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」が19.2%減と大きく下落したことが響いた。(共同通信 1月6日)

日本銀行は1月11日、全国の満20歳以上の個人を対象に実施している「生活意識に関するアンケート調査」結果を発表した。現在の物価に対する実感(1年前対比)は「上がった」と回答した人の割合が9割台半ばに達した。1年前と比べた物価上昇率の平均値は12.1%増、中央値は10.0%増だった。
物価上昇をカバーできる賃上げが実施されるのかどうか。
東京商工リサーチが昨年10月に行った調査では、2023年度に賃上げ実施予定する企業は81.6%。賃上げ率の内訳は、2%未満が35.80%、2~5%が41.55%、5%以上が4.29%だった。
一方で「実施しない」が18.36%だった。ゼロゼロ融資の返済に追われている中小企業では賃上げどころではないだろう。
ただ、この調査以降、政権や経済界、連合などが賃上げ要請のメッセージを強めていることから、賃上げ実施と賃上げ率引き上げの圧力が高まっている。
 東京商工リサーチは「物価高に対応するため、従業員への賃上げが切実に求められる一方、賃上げ原資が不足する可能性もある中小企業は、背伸びした無理な賃上げが経営悪化に直結しかねない」と懸念している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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