2024/01/08
国内で働く外国人労働者は2022年で182万人、日本の就業者数の約3%を占める。いまや企業運営やサービス維持に欠かせない「同僚」だ。だが、東南アジアの経済成長や円安基調などの影響を受け、海外の若者は来日して働く動機が揺らいでいる。外国人から選ばれ、活躍してもらえる職場づくりには何が欠かせないのか。
(中略)
日本は外国人労働者の受け入れにおいて高度人材については積極的だ。一方、それ以外は消極的。「国民的コンセンサスを踏まえつつ検討」(出入国在留管理基本計画)すると慎重な姿勢を崩さない。
だが、労働を目的としていない技能実習生と留学生が60万人超(2022年時点)も働いている。多くの産業がこうした外国人材に支えられているのが今日の日本の実態だ。
国は19年に人材確保が困難な産業に限定し、外国人労働者の受け入れを可能とする特定技能制度を創設。その入り口となる「1号」は家族帯同が認められず、更新が5年までと制限が設けられた。海外の若者からすれば生活基盤やキャリアを築きにくい制度だ。
国は23年8月に長期就労できる「2号」の対象分野を大幅に広げたものの、試験制度などの整備は道半ばだ。
(日本経済新聞 1月1日)
いまや外国人労働者の受け入れは慎重論を経て「推進」「促進」の流れにある。受け入れを進めたい業界関係者は制度設計を加速させている。
例えば介護分野では、厚生労働省の「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」では、訪問系サービスへの従事について議論を始めている。現行の制度では施設系サービスにしか従事できないが、利用者宅への訪問を解禁できるかどうかを議論している。
一方、自民党の外国人労働者等特別委員会が12月14日に発表した提言は、負の側面にスポットを当てた。①転籍を促す悪質なブローカーの確実な排除②外国人労働者に多額の借金を背負わせる悪質な送出機関からの受入停止措置や二国間協定の強化③母国で一定の犯罪歴のある者を受け入れの対象外とすることの適正化――などを指摘した。
政府が受け入れを進めていくための社会像として提示した多文化共生社会を阻む芽を除去することを重視している。多文化共生社会とは、総務省の定義によると「国籍や民族などの異なる人々が、互いの分化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」。この考え方を突き進めると選挙権の有無に行き当たるから、安全保障の観点での検討も欠かせない。
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