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「安倍派支配」の後、政策への影響 移民解禁の余地生む

自民党の政治資金パーティーを巡る問題が安倍派(清和政策研究会)を直撃し、閣僚や党幹部ポストから所属議員が一斉に外れた。安倍晋三元首相らを輩出し、最大派閥として「清和会支配」と呼ばれてきた状況が転機を迎えた。政策の方向性にもたらす影響を追った。
(中略)
 政策変更の余地が生まれる分野のひとつに安倍氏が慎重姿勢を示していた外国人政策がある。労働人口減少は安倍政権当時も主要な課題だったが安倍氏は「いわゆる移民政策をとることは考えていない」と強調していた。
「国民の人口に比して一定程度の規模の外国人や家族を期限を設けず受け入れることで、国家を維持する政策をとることは考えていない」と説明してきた。
(中略)
 岸田文雄政権が発足して間もない21年11月。在留資格「特定技能」の対象拡大案が浮上すると、安倍氏は「これまでの政策を転換する話で急だ。右から左からも攻撃される」と警戒感をあらわにした。
(日本経済新聞 12月26日)

 自民党の外国人労働者等特別委員会が12月14日に発表した提言には①転籍を促す悪質なブローカーの確実な排除②外国人労働者に多額の借金を背負わせる悪質な送出機関からの受入停止措置や二国間協定の強化③同一就労先での就労を少なくとも2年とする④母国で一定の犯罪歴のある者を受け入れの対象外とすることの適正化――などが示された。
 さらに「技能実習生の失踪原因について調査な調査が未だ行われていない。両制度改正にあたっては失踪原因の調査な調査と分析を行ったうえで、具体的な対応策・予防策等を示すこと」「新制度によって永住に繋がる就労者が大幅に増えることが予想される為、永住許可の制度の適正化を検討すること」などが付記された。
 外国人労働者の受け入れ拡大にともない、政府が示したゴールイメージは多文化共生社会の実現。総務省が定義した多文化共生社会とは「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築 こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」である。
 保守層にとっては、日本の国柄を崩壊させかねない危うさが否めないでのではないのか。
共生という耳ざわりの良い言葉もどこか浮足立っている。「文明の衝突」を提起したサミュエル・ハンチントンがこの定義を知ったら、どう評価するだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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