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就職氷河期世代、165人合格 23年度、国家公務員試験

人事院は25日、バブル崩壊の影響を受けた「就職氷河期世代」を対象とした2023年度の国家公務員中途採用試験に、昨年度より5人多い165人が合格したと発表した。試験が始まった20年度からの累計は727人で、政府目標の600人を上回っている。
就職氷河期世代の正社員8万人増 政府目標は24年度に30万人
 1966年4月2日~86年4月1日に生まれた人が対象で、申込者数は6039人。最多は刑務官を含む法務省の51人で、国土交通省が43人、厚生労働省と財務省がそれぞれ24人で続いた。  政府は氷河期世代を支援するため、毎年度150人以上の採用目標を掲げる。当初は3年間の予定だったが、新型コロナの影響も踏まえ、24年度までの5年間に延長した。
(共同通信 12月25日)

 就職氷河期世代はいまやリストラ対象世代である。早期退職した上司・先輩・同僚の再就職が上手くいかずに前途多難な日々に直面する姿を見聞すれば、たとえ公務に惹かれなくとも、リストラ回避策として公務員に転身したくなる人は一定の割合でいるだろう。
 しかも公務員の給料は大手企業よりは低いが、中小企業よりは高い。国家公務員の平均年収は約677万円、地方公務員は約630万円である。民間企業の平均年収は約443万円なので、昭和の時代から喧伝される「公務員は給料が安い」というのは俗説にすぎない。
神戸市が実施した就職氷河期世代対象の市職員採用試験では、今年度の受験者数265人に対し合格者は6人。事務職の倍率はじつに78倍にも上った。応募者には公務に意欲を抱く人だけでなく、安定した身分を求める人もいたはずだ。安定志向が望ましくないのではない。生活を安定させてこそ良い仕事ができる。
就職氷河期のあおりで職業人生の前半期を苦労した層が、公務員に転じて後顧の憂いなく定年まで後半期を送ることは帳尻が合う。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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