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大卒内定者4年ぶり増加 23年春入社、日経調査

日本経済新聞社が25日にまとめた2023年度の採用状況調査で、主要企業の大卒内定者(23年春入社)は22年春入社数と比べて5.7%増えた。全体の増加は4年ぶり。新型コロナウイルス禍からの経済再開や人手不足を受けて、非製造業を中心に採用意欲が高まっている。採用計画に対する内定者の充足率は過去10年で最低となるなど、人材の獲得競争は激しさを増している。
主要企業1065社を対象に10月3日時点の内定者数を聞き、比較可能な941社を集計した。大卒者には大学院修了も含む。
大卒内定者数は22年度比5・7%増の11万6079人。コロナ禍による採用手控えの反動に加え、自動車をはじめとする重要回復などで採用を増やす動きが広がった。転職などで若手社員の離職が増えていることも一因だ。
非製造業は4%増と4年ぶりのプラス。ホテル・旅行や外食・その他サービスなどが回復し、23業種中で18業種がプラスとなった。客室乗務員以外の大卒新卒の総合職採用を3年ぶりに再開した全日本空輸(ANA)は66人を採用する。
製造業は9・6%と2年連続のプラス。自動車・部品や化学など19業種中で10業種が2ケタの伸びだった。(日本経済新聞 10月26日)

人手不足を解消するために企業売却に踏み切るケースもある。その事例が日本M&Aセンターの情報サイト「M&Aマガジン」に掲載されている。
2020年7月、シート材・コイル材切断機の製造販売のエムエスシー製造(埼玉県八潮市)
は、中小製造業の譲受け及び譲受け企業の経営支援を行う技術承継機構(渋谷区)に株式を譲渡した。当時の年商は約3億9000万円、従業は18名。徳勝賢治会長はこう語っている。
「2019年1月の決算で、当社は過去最高売上と最高益を達成します。本当なら手放しで喜んでいいはずなのに、私の気持ちは晴れませんでした。それは、この好業績が社員の残業の上に成り立っていたからです。自分でも何とかしなければとずっと思っていました。でも、どうにもなりません」
「社員の犠牲」とは長時間労働である。徳勝氏はつづける。
「原因ははっきりしていました。人が足りない、育たないのです。求人を出しても人が集まらない。たまに採用できてもすぐに辞められてしまう。そうすると、私の考えを理解し同意する現社員に頼るしかなく、結果としてそれが彼らの長時間労働につながってしまうのです」
 ついに工場内で事故が起きてしまう。外国人技能実習生も受け入れたが、限りがある。「さすがにもう限界」と判断した徳勝氏は、M&Aに踏み切ったのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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