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都内の今年度 賃上げ実施、初の8割超

東京商工リサーチがまとめた賃上げに関する調査によると、2022年度に賃上げを実施した東京都内の企業は80.2%で、21年度に比べ15.8ポイント増えた。8割を超えたのは集計を開始した16年度以降で初めて。経済活動の再開に伴い人手不足が顕在化したことが背景にある。ただし、賃上げ率は小幅にとどまり、物価高などを理由とする企業の慎重姿勢も浮かぶ。 調査は8月1~9日、ウェブ上のアンケートで実施。1490社(大企業361社、中小企業1129社)から回答を得た。大企業の実施率は86.1%で、中小企業は78.3%だった。産業別では、運輸業の大企業は全社が賃上げを実施したが、中小では67.4%にとどまり、差が顕著だった。 賃上げ率は「9%未満」が68.6%で、新型コロナウイルス禍の影響を受けた20年度(54.1%)や21年度(47.3%)より高く、多くの企業が小幅の賃上げにとどまった。 (日本経済新聞 9月10日)

 調査結果について、東京商工リサーチは2つのポイントを抽出した。 第一に、大幅賃上げで中小企業の収益圧迫が危惧されるが、経済活動の本格再開で人手不足が懸念され、賃上げせざるを得ない中小企業の姿が浮かび上がること。物価高を受けて今冬のボーナスもアップせざるを得なくなるだろうが、さらに収益は圧迫される。 第二に、製造業などの業績回復だけでなく、断続的な物価上昇も影響したとみられること。コロナ禍で業績への影響を克服できていない企業は賃上げが難しく、賃上げ実施率は規模や業種により濃淡が出たという。  賃上げはアルバイトに限っても顕著に現われている。リクルートの調査によると、三大都市圏の8月度平均時給は、前年同月より26円増加の1134円(前年同月比+2.3%)で過去最高額。首都圏・東海・関西ともに過去最高額を更新した。  人手不足を補うために外国人労働者の雇用も、ふたたびクローズアップされていくだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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