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夏のボーナス増えたけど… 実質賃金、4カ月連続で前年下回る

厚生労働省が6日発表した7月分の毎月勤労統計調査(速報)で、パートを含む働き手1人あたりの現金給与総額は、ボーナスの増加などにより前年同月より1・8%増え、37万7809円だった。ただ、物価の伸びが上回ったことで、働き手の購買力をあらわす「実質賃金」は1・3%減と、4カ月連続で前年を下回った。
 7月は、夏のボーナスを含む「特別に支払われた給与」が2・8%増。残業代などを含む月給にあたる「きまって支給する給与」は1・5%増だった。これらを合わせた現金給与総額は、同月での比較では2008年のリーマン・ショック以降で最も高かった18~19年と同水準だ。  一方、足元ではエネルギーや食品などの値上がりにより、実質賃金を計算する際に用いる消費者物価の指数が上昇。4月以降は3%程度の増加が続き、1970年以降で最も高い水準となっている。
(朝日新聞デジタル 9月6日)

 またひとつ、物価高騰を象徴するニュースが流れた。さる9月7日、大手回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司は、10月から従来の110円と220円から、115円と165円の新価格帯に変更することを発表した。110円は税込価格で、税抜きでは100円だから100円寿司が消え去ったのだ。
 崎陽軒の「シウマイ弁当」も10月に860円から900円に値上げされる。まさしく“値上げの秋”である。
 すでに一部の企業ではインフレ手当を支給しているが、実施できる企業は限られている。
 そんな折、9月1日に公表された「法人企業統計調査」によると、日本企業の内部留保額は2021年度に過去最高の516兆4750億円だった。
この数字に対して「貯め込んでいるのなら少しは人件費に廻してほしい」というムードもあるが、内部留保は利益から法人税や株主配当などを払った後の残高の蓄積である。給与の原資ではない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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