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定年後の実態「70歳で年収700万円以上の人が5%いる」

定年後に働く人が急増している一方で、その実態を把握している人は少ない。話題の新刊『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データと事例から「定年後の仕事」の知られざる実態を明らかにしている。
 たとえば、定年後の収入について、『ほんとうの定年後』では、〈60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる〉と書かれている。
 60代では年収200万円台、70代では年収100万円台が一般的になる。多くの年収を稼ぐ人も少数だが存在するものの、現実としては当たり前の仕事の実態ではない。  
〈多くの人が高齢になってもスキルアップを続けて社会に貢献することは、社会的に好ましい。実際に70歳時点で700万円以上の年収を稼ぐ人は就業者のなかで5.2%と一定数存在している。(現代ビジネス 8月13日)

内閣府は2022年3月に発表した「高年齢者雇用の進展と感染拡大後の動向」で、65最上の雇用者増が顕著になっていることが分かった。
雇用者数は 2000 年から 2021 年にかけてプラス 617 万人と大きく増加。全体を押し上げたのは 65 歳以上の雇用者で、2000 年代半ば頃から増加が顕著となり、感染拡大後も増加を続けた。その結果、00 年から21 年にかけて422 万人の増加となり、00 年以降の雇用者数増加の約7割を占めた。
 また若い年代ほど定年前(55~59 歳)時点の雇用率が高く、定年前から60~64 歳にかけての雇用率の低下幅が小さい。65歳に達してからも、かつての年代ほどには雇用率が落ち込まないことが指摘できる。
すでに現役世代が60歳までではなく、遠からず70歳までに定義し直されるかのような勢いだが、定年後の収入が増えてゆく徴候は見当たらない。
マイナビが就労している40代~70代男女を対象に実施した「ミドルシニア/シニア層の就労者実態調査(21年)」(1500名)によると、「仮に転職するとした場合の仕事探しでなくてはならないもの」の上位回答は、65歳以上の場合、「年齢に関係なく活躍できる」「経験を活かせる」「シフトの融通が利く」「短時間・少日数でよい」「楽な仕事である」「残業なし」などだった。
高いモチベーションを要求される職場でなく、あくまでマイペースで働ける職場を望んでいるのだが、そのぶん高収入は望んでいない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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