2022/07/18
政府の方針により、2021年4月から、従業員数301人以上の大手企業は、中途採用比率の公表が義務化されています。中途採用比率の公表義務化の背景には、就職氷河期世代の支援やシニア世代の再雇用をうながす目的もありますが、就業経験のある人材を求める中途採用においても「若い世代」を採用したいと考える企業が多い傾向だといいます。企業の人事担当者419人に、「中途採用で特に採用したいと考えている年齢層」について聞いたところ、6割以上の企業が「20代」と回答したそうです。
株式会社学情が2022年6月に行った調査で、20代の中途採用を実施したことがあるか、実施予定の企業を対象に聞きました。
「中途採用において、特に採用したい年齢層」については、「20代(26~29歳)」が46.4%で最多に。「20代(~25歳)」(17.9%)と合わせると、「20代」と回答した企業が64.3%に上りました。また、「中途採用において、対象となる年齢層」では「20代(26~29歳)」(92.3%)、「30代」(85.3%)、「20代(~25歳)」(70.6%)と続き、こちらも「特に採用したい年齢層」と同様に若い世代を希望する回答が上位に並びました。
(まいどなニュース 7月8日)
伸びしろ、コストパフォーマンス、ITリテラシー。この3つだけ取ってみても、採用するなら若年層を優先したいだろう。採用時にはパッとしなくとも、DX人材に育成できる可能性もある。赤字社員から黒字社員への進化が期待できるのだ。
中年層のウリは経験値だが、氷河期世代の場合、非正規雇用が長ければ単純労働の経験が長いことから、管理スキルも専門スキルも身についていない。たとえスキルを有していても、なかなか評価されないのが現実だ。
一方、正社員としてキャリアを積んできた氷河期世代も、ウリである経験値が評価されるとは限らない。あくまで過去の成功体験と扱われ、DX時代に通用するかどうかは不透明とみなされかねない。そのうえ若年層とは反対に、黒字社員から赤字社員への後退も懸念される。
氷河期世代で経験値が評価されるのは、エグゼクティブ・サーチ会社がリストアップしているような一握りのエリート人材である。ただ、経営幹部で採用しても、経営者や組織風土と相性が悪ければミスマッチに終わってしまう。
氷河期世代の雇用サポートは社会的要請だが、企業にとっては必ずしも割の良い取り組みではない。年齢は数字にすぎず個人差が大きいとはいえ、やはり欲しいのは20代である。
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