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JTBが「デジタル総合職」 IT人材、継続的に採用

JTBはIT(情報技術)人材を一般枠とは別に「デジタル総合職」として継続的に採用する。同社は観光地のITプラットフォームの構築や、企業の業務改善コンサルティングなどの新事業を育成する方針を掲げている。新事業に必要なIT人材の基盤を厚くし、今期業績で全体の4割弱を見込む非旅行事業の利益の割合を2029年3月期に5割まで高める。
山北栄二郎社長が日本経済新聞の取材で明らかにした。2年ぶりに新卒採用を実施する23年春入社ではグループ全体で300人規模の採用を予定し、そのうちデジタル総合職は「若干名」(山元氏)となる。人工知能(AI)開発やウェブマーケティングなど様々なスキルを持つIT人材を募集。入社後はIT関連の分野でキャリアを歩むことになる。待遇面は総合職と変わらない。
JTBは観光地のデジタルトランスフォーメーション(DX)化支援を成長分野と位置づける。
(日本経済新聞 7月2日)

「マイナビ2023」に掲載されているJTBの求人欄は、総合職、デジタル総合職、エリア限定職など職制ごとに区分けされている。デジタル総合職には募集職種として「初期配属のみ、Web戦略、システムマネジメント、UI/UX、Webマーケティング等、Webシステムに係る業務に従事。その後のキャリアについては総合職に準じる」と記載されている。
総務省の「情報通信白書2022」によると、DXに関する取組を進めている企業の割合は、日本企業の約56%に対して、米国企業は約79%。案の定、日本企業のほうが低かった。DXを推進するうえでの課題については、日本企業は「人材不足(67.6%)」が米 国・中国・ドイツの3カ国に比べて多く、次に「デジタル技術の知識・リテラシー不足 (44.8%)」が多かった。
デジタル人材は量も質も不足しているのだが、何が障壁になっているのだろうか。白書では「デジタル人材を採用する体制が整っていない」と「デジタル人材を育成する体制が整っていない」 が約40%だった。
デジタル人材確保の取り組みで最も多かったのは、日本企業は「社内の既存人材の配置転換や育成」だったが、米国企業は「採用(新規・中途両方を含む)」だった。リスキングがクローズアップされているが、日米のデジタル格差を考えれば、デジタル人材は育てるものではなく、採ってくるものという方針のほうが現実的といえそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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