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アマゾン下請業者の配達員が労組結成

アマゾンの下請業者を通じて、配達業務に携わっている配達員たちが労働組合「アマゾン配達員組合横須賀支部」を結成し、6月13日に厚生労働省で記者会見を開いた。
配達員たちは現在、下請業者との間で業務委託契約を締結して業務を行っているが、直接的な指揮命令になっていることから、労働基準法の労働者として扱わないことが「偽装請負」にあたる可能性が高いことを指摘し、アマゾンや下請業者に対して、長時間労働の是正や、荷量の適正化などを求めている。
この組合は、連合加盟の「全国ユニオン」に参加する地域合同労組「東京ユニオン」に、神奈川県横須賀市の配送センター(amazon三春)で働く10人が参加する形で結成したもので、配達の現場で組合が結成されたのは初めてだという。
配達員はいずれもアマゾンとの直接の契約ではなく、下請業者である若葉ネットワークや、さらにその下請業者と契約を締結して、配達業務を担ってきた。(弁護士ドットコムニュース編集部 6月13日)

アマゾンの下請業者による労働組合結成と同様の動きにコンビニエンスストアのフランチャイズ(FC)加盟店主の労組活動がある。焦点はFC加盟店が労働者とみなされるかどうか。
 注目の判決が6月6日に下された。東京地裁はセブン―イレブン・ジャパンのFC加盟店オーナーらに対して「独立した事業者と評価できる裁量がある」という理由で、請求を棄却した。原告である「コンビニ加盟ユニオン」は、FC加盟店オーナーは労働者に該当しないと判断した中央労働委員会の命令取り消しを請求していた。
 判決では「FC店主が本部の事業に不可欠な労働力として組み入れられているか」「本部が労働条件を一方的に決めているか」「店主の報酬が労務への対価と言えるか」などが、加盟店主が労働者かどうかの判断基準になると示された。
 いずれの争点からの労働者には該当しないと判断されたのだが、そもそもコンビニエンスストアに限らずFC本部は、独立開業フェアや起業フェアなどで加盟店を募集し、独立志向の会社員などが足を運んで情報を収集している。
 加盟時にFCオーナーは労働者でないことを認識しているはずだ。個人事業主として加盟したのである。しかし契約内容に本部からの縛りが多く、一方で契約期間内に脱退すれば違約金を課せられるため「忙しい」「儲からない」「辞められない」という問題がクローズアップされた。
 ここまで本部の力関係が強いと個人事業主ではなく、まるで労働者ではないのか。この問題は30年近く前からくすぶっている。FCという仕組みの必然だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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