Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

定住外国人「正社員」に壁 昇給遅い非正規、日本人の倍

長く日本で働きながら正社員になれない外国人が多いことが、国の賃金構造基本統計調査を分析して分かった。外国人は勤続5年以上でも非正社員が36%を占め、国内全体の2倍を超す。正社員を新卒中心に採用する雇用慣行が、社会人で来日し中途入社することが多い外国人に不利との指摘もある。定住外国人すら活躍しづらい実態は、海外の人材が日本を敬遠する要因となりかねない。
(中略)
 厚生労働省によると国内の外国人労働者は約172万人。約4万9千事業所が回答した2021年の同調査で、フルタイムの外国人労働者の47%が非正社員だった。「技能実習」など在留の短い人が含まれない勤続5~9年でも36%が非正社員。同じ勤務時間で日本人を含む全体は16%だった。(日本経済新聞 6月9日)

外国人を正社員に登用しないのは短期間での離職リスクが高いからだ。外国人正社員の定着率を調査すれば実態が見えてくるだろう。
さて、外国人労働者を巡っては、またしても技能実習生に関わる問題が表面化した。
岡山市の建設会社・シックスクリエイトで勤務していたベトナム人技能実習生の男性が、日本人従業員から暴行を受ける映像がテレビで何度も流れた。
岡山県警は傷害暴行容疑で、当時従業員だった男4人を書類送検した。さらに出入国在留管理庁が監理団体・岡山産業技術協同組合の許可を取り消した。
不届きな管理団体や実習実施先は一部で、大方は健全に制度を運用しているという見方ができるのか。つまり不祥事を起こした管理団体と実習実施先の問題として処理できるかどうか。
古川禎久法務大臣の発言を聞くと、個別の問題ではなく制度に病巣が潜んでいる。古川氏は5月31日の閣議後記者会見で、こう指摘した。
「監理団体が適正に機能せず、技能実習生に対する暴行や暴言を繰り返すという極めて悪質な人権侵害事案が発生したことは、制度そのものに内在する重大な問題だと認識している」
 さらに古川氏は「制度の良いところも悪いところも率直に認め、改めるべきは改めるという誠実さを旨として、厚生労働省などとも連携し、制度の在り方について検討を進めていきたい」と述べた。検討会を立ち上げるのなら、委員には現場実態に精通した人を何名か任命しないと現実的な対策を期待できない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。