2022/06/15
政府は、中小企業の事業を引き継いだ経営者を手助けする「アトツギ支援ネットワーク(仮称)」を年度内に創設する。中小企業は後継者不足が課題になっている。若い経営者の不安を取り除くために環境を整え、新たな担い手を呼び込む狙いがある。
中小企業庁が近く、金融支援のあり方を検討する有識者会議の中間取りまとめとして提言する。
支援策は、事業承継を機に、新規事業や業態転換に取り組もうとする若手経営者に焦点をあてる。たとえば、オンライン会議を活用し、後継者同士の意見交換や先輩経営者との対話の場をつくる。弁護士や税理士、金融の専門家への相談もできるようにする。
中小企業は、高齢になった経営者が後継者を見つけられず、廃業する例が多い。東京商工リサーチの調査によると、2021年度に「後継者難」が理由で倒産した負債1000万円以上の企業は404件あった。調査を始めた13年度以降で最多となっている。
かつては、親族や従業員に引き継ぐのが主流だった。経営は行き詰まっていないのに、廃業や休業に追い込まれる企業も多い。
(読売新聞オンライン 6月10日)
後継者不在で企業数が激減する危機に瀕している。「新しい資本主義」でクローズアップされるべき深刻な課題だ。
中小企業庁は「中小企業・小規模事業者におけるⅯ&Aの現状と課題」と題する資料で、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人 となり、うち約半数の127万人が後継者未定と推計している。この数は日本企業全体の3分の1に相当するという。
さらに中小企業庁は、現状のままでは中小企業・小規模事業者廃業が急増し、25年までの累計で約650万の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると想定している。
国も廃業防止対策を進め、独立行政法人中小企業基盤整備機構が公的相談窓口として「事業承継・引継ぎ支援センター」を47都道府県に開設。中小企業診断士、税理士、公認会計士、金融機関OBなどが相談員になって、「第三者承継支援」「親族内承継支援」「後継者人材バンク」「経営者保証に関する支援」の4分野をサポートしている。
事業承継を進めるには第三者承継支援の拡充が問われる。センターが提供するのは①
民間M&A仲介業者、金融機関等につなぐ②専門家を紹介してマッチングをコーディネート③商工会議所等の創業支援機関が連携し、後継者不在の企業と起業を希望する人材とのマッチング――この3つのサービス。
センターの存在を知らない中小企業経営者は少なくない。もっとPRしてほしい。
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