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フィンテック関連、日本で求人3倍に

英系人材紹介大手、ロバート・ウォルターズによると、日本のフィンテック関連の求人数が前年比約3倍に増加した。フィンテック業界が世界で急成長するなか、人材不足が顕著になっている。特に金融業界の経歴をもつエンジニアやIT(情報技術)コンサルタントなどの専門的な人材を採用する動きが広がっている。
英国のデータ会社と提携して調査を実施した。世界全体でのフィンテックに関連した職種の求人数は2.76倍に増えた。日本ではこれを上回る3・14倍に増えた。中でも採用はITコンサルタント職に集中し、フィンテック分野の求人のうち、6分の1を占めた。
世界のフィンテックへの投資総額は2021年に1315億ドル(約17兆円)にのぼる。最高額だった19年の2154億ドルよりも減少したものの、依然として成長している。業界の変化が著しく専門用語も多いため、金融業界の経歴も求められているという。特にブロックチェーン(分散型台帳)とキャッシュレス決済の需要が旺盛だ。(日本経済新聞 5月31日)

フィンテック人材は金融とITのいずれにも高度なスキルが必須で、いまや引っ張りだこだ。労働市場を隈なく探しても容易に見つからない。募集企業で担当する業務が高度に専門的なので、人材紹介会社にアプローチしても、コンサルタントが業務内容を消化できず、したがって人材の目利きもできないというケースもあるという。
デジタル人材全体の底上げが焦眉の課題で、政府も育成策に着手している。今年2月、若宮 健嗣デジタル田園都市国家構想担当相は、デジタル推進人材の育成・確保策を発表した。①デジタル人材育成プラットフォーム②職業訓練③大学等における教育(リカレントを含む)等によりデジタル人材を育成④デジタル人材の地域への還流を促進——この4分野を中心に関係省庁が連携して育成策を進めていく。
このうち経済産業省はデジタル人材育成プラットフォームの構築を所管。▽すべてのビジネスパーソン向けデジタルスキル標準作成(2021年度末まで)▽ DX推進人材向けデジタルスキル標準作成(2022年中)▽デジタルスキル標準に基づいた教育コンテンツの整備 (2024年度教育コンテンツ受講者6.8万人/年)▽地方におけるDX促進活動支援 (2024年度までに地方DX拠点を20箇所創設) などに取り組む。
 フィンテック人材が輩出される土壌が形成されればよいのだが、このレベルの人材は育成の対象にならない。みずから現場で知識とスキルを吸収してしまう学習能力をもっているからだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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