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世田谷区、DX推進へサイボウズ出身者を副区長に

東京都世田谷区は19日、庁内のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向け、6月1日付でサイボウズの松村克彦氏を副区長に起用すると発表した。松村氏は日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、2007年にサイボウズに入社。同社では執行役員や社長室長を歴任する一方、副業としてNPO法人の経営支援などに取り組んだ。区は松村氏のITスキルに加え、地域活性化への取り組みも評価して起用を決めたという。区の副区長は計3人となる。任期は26年5月末までの4年間。 (日本経済新聞 5月19日)

世田谷区は新実施計画事業について、成果の達成度や行動量の実績に対する評価を公表しているが、課題と今後の政策展開にデジタル化を挙げている。 < 区民が広く文化・芸術・歴史に親しめる環境づくりに向けては、コロナ禍の経験を踏まえ、 新たな手法による事業展開やさまざまなデジタルコンテンツを活用した情報発信の充実を図る 等、より多くの区民が世田谷の文化・芸術・歴史の魅力を身近に感じられるような取組みを行い、満足度の向上を図る>  行政のデジタル化にはスマートシティというキーワードがあるが、このテーマで海外の事例にも詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティング専務執行役員・南雲岳彦氏に取材したときに、こう指摘された。 「今のスマートシティの議論は、生産性、効率性、利便性のみで、あたかも工業製品を作るがごとくクオリティー・オブ・ライフと言っていますが、全くクオリティー・オブ・ライフでないことは統計上明らかになっています」  南雲氏は、クオリティー・オブ・ライフの実践例に、住民満足度の高い都市であるメルボルン市を挙げた。 「メルボルンの市民には、街づくりには人が健康になったり、優しくなったりする帰結を生むべきであるという社会哲学を持っています」  世田谷区は認知症対策で先進的な取り組みを実践しているが、DX推進にはたんなる効率化ではなく、あるべき街づくりをめざしている印象がある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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