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大手銀、「人への投資」強化 賃上げ3~4%、教育も充実 22年度

大手銀行が「人への投資」を強化している。  
三菱UFJ銀行など3メガバンクは2022年度に賃金を前年度比3~4%程度引き上げるほか、教育関連投資も充実させる。企業間の人材獲得競争が激化する中、物価上昇にも配慮して人的資本への投資を増やし、企業価値向上につなげたい考えだ。
岸田文雄首相は22年春闘を前に、業績がコロナ禍前の水準を回復した企業に3%超の賃上げを期待すると表明。「人への投資」強化を目指しており、3メガバンクとも3%超の賃上げに踏み切る。  
三井住友銀行は、継続雇用者に対する総支払賃金を前年度比4%弱増やす方針。デジタルなど多様な人材が求められる中、教育投資は約3倍の20億円程度にする考えで、人的投資全体で実質5%弱の増加を見込む。三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は人的資本を「金融グループの経営で最も大切な経営資源」と位置付け、継続的に投資強化に取り組む考えだ。

(時事通信 5月18日)

メガバンクの就職人気はすっかり低落し、もはやエリート学生の定番就職先ではなくなったが、それでも賃金は安定的に高水準である。
東京商工リサーチが2021年8月に発表した調査によると、メガバンク平均年収は、三井住友銀行842万円、三菱UFJ銀行773万円、みずほ銀行729万円。平均年齢は30代だが、よほどの贅沢をしない限りカツカツではない生活ができるはずだ。
さらに転職情報サイト「JobQ」による平均年収予測では、40代の年収は、三井住友1134万円、三菱UFJ1107万円、みずほ1183万円である。「昔に比べれば高給取りではなく普通の水準になった」(メガバンク中堅行員)という見方もあるが、この水準なら給与所得者として御の字ではないのか。
その意味で、伝統的にメガバンクは人的投資が強化され続けているともいえるが、さらに加速する勢いだ。
とかく外資系金融機関と比較して現行水準を嘆く傾向があるが、外資系では勤務の継続性がなく、たとえ実績を上げていても本社のグローバル戦略の変更などで、いつお払い箱になるか不透明である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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