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3月の平均賃金28万6567円、3か月連続で前年上回る

厚生労働省は9日午前、3月の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。労働者1人当たりの平均賃金を示す現金給与総額(名目賃金)は前年同月比1・2%増の28万6567円で、3か月連続で前年を上回った。
 現金給与総額のうち、基本給にあたる「所定内給与」は24万7249円で同0・5%増加。残業代などの「所定外給与」が1万8801円と同2・5%増だったほか、賞与(ボーナス)などの「特別に支払われた給与」が2万517円で同10・7%増と大きく伸びた。
 厚労省の担当者によると、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済活動が徐々に回復したことに伴い、所定外労働時間が伸びたほか、賞与を支払うことができる企業が増えたことが要因だという。(読売新聞オンライン 5月9日)

岸田文雄政権は今年の春闘で3%以上の賃上げを要請したが、これを上回る賃上げを実施する企業が続いている。人材確保や勤労意欲の高揚を意図しているのだが、賃上げができる企業は優良企業なので、人材確保に苦労しないうえに社員の勤労意欲もじゅうぶんに高い。
水準以上の賃上げを実施すれば、その他大勢との人材格差はどんどん開いていく。水準以上の賃上げは、競争力を一気に強化するチャンスである。
5月12日に、日本経済新聞とNHKは、三井住友信託銀行が今年度にベースアップを含め平均で4.5%程度の賃上げを実施する方向で調整を進めていることを報じた。このうちベースアップ分が1.5%程度。7年ぶりのベースアップで、国内の物価上昇を踏まえたという。
さらに5月12日付け読売新聞オンラインによると、全日本空輸が夏のボーナスを月給1か月分とする方針案を同社の労働組合に示した。2020年夏以来、2年ぶりの支給だが、労組側は、要望している1・5か月分を下回っているため、慎重に検討を進めるという。
 ANAホールディングスは、2022年3月期連結決算の最終利益が2期連続の赤字だが、人材流出を防ぐには賞与を支払う以外にないと判断したのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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