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社員の勤怠 常時見える化

社員は仕事にどの程度時間を費やし、どれだけの付加価値を生んでいるのか――。水戸市のソフトウエア企業、アプリシエイトはそんなデータをリアルタイムで見える化できる勤怠管理システムを開発・販売している。経営者の迅速な判断を後押しし、社員の働き方改革に役立ててもらう。
企業のソフト開発などを手掛ける同社が2021年4月に本格販売を始めたシステムが「iTime(アイタイム)」だ。社員はパソコンやスマートフォンで仕事の流れを原則1日1回入力。売り上げに結びつく直接部門から会議などの間接部門まで、コードに沿って勤務時間を分単位で入力できる。
「タイムカードで把握できなかった現在の勤怠状況がわかる。工場ごとの就業時間の違いに対応できるのも便利だ」。1月から導入した自動車・家電部品メーカーの日東電気(茨城県茨城町)の阿部太洋常務は話す。
「三六協定」をはじめ、中小企業に対する残業規制は厳しくなっている・アイタイムでは時間外労働時間や有給休暇の取得状況を早期に確認し、社員に注意を促せる。
(日本経済新聞 3月29日)

 アプリシエイトが開発した「iTime(アイタイム)」は、適正な労務管理に役立つだけではない。工数一覧を集計することによって、工数が増えている原因や減っている原因を追求し、利益改善の施策を回していくなど、経営判断の支援をするレポートとして活用できる。
リアルタイムの経営判断を可能にするのである。
 たとえば工数が増えている原因を押さえて、トラブルの可能性をリアルタイムにキャッチし、赤字を事前に回避できる。あるいはクライアントごとに工数を分類したところ、あるクライアントのプロジェクトはつねに稼動が高く、受注金額に対して作業が多すぎる状況について、ひんぱんに仕様変更を強いられていたことを把握でき、営業と連携して改善を提案する。
「iTime」は、Observe(観察)、Orient(状況判断・方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)によるOODAループに役立つ。平時にはPDCAが有効だが、有事にはOODAループが有効だ。
コロナ感染症やウクライナ情勢などによる常在戦場の経営が問われている時勢にあって、PDCAよりもOODAループが有効である。「iTime」には経営革新を期待できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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