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富士通、9割ジョブ型に 専門人材獲得しやすく

富士通は2022年4月をめどに「ジョブ型雇用」を、一部を除く国内外のグループ企業の11万人で導入する。これまで国内の管理職と海外従業員を対象としていたが、グループ会社を含む国内の一般社員5万人に広げる。国籍や組織の枠を超えて、最適な人材を育成・配置可能にし、IT(情報技術)サービスで進めている事業モデルの構造転換を後押しする。
導入に向け労働組合と新しい人事制度について協議を進める。ジョブ型雇用は、事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を起用する制度。富士通は職種、階層ごとに求められる標準的なスキル(技能)をまとめて社会に公開する。社員ごとに異なる詳細な職務内容については今後作成する。
新卒で入社する社員は、大学院で専門知識を身につけている場合などを除き、一定期間は一律で処遇する方針だ。
富士通は20年に国内グループの管理職1万5000人にジョブ型を先行して導入した。仕事の専門性や難易度で設定した格付けに応じた定額の月給と業績連動の賞与を支給している。すでに海外グループ会社の4万5000人もジョブ型で働いている。
(日本経済新聞 3月24日)

ジョブ型人事は政府ではかなり前から議論されている。2014年に実施された経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議では、「多様な正社員」としてジョブ型人事の導入目的が議論され、以下の意見が出た。
①多様な正社員制度の目的は、非正規雇用労働者のキャリア・アップ、いわゆる正社員のワーク・ライフ・バランス、人材の確保・定着、従業員のモチベーションの向上、グローバル化に対応する人材の選別・確保、地域に密着した事業の展開、ものづくり技能の安定的な承継など様々である。
② 勤務時間限定によるワーク・ライフ・バランスの実現、職務限定により汎用性のある資格を取得することによる失業なき労働 移動の促進、日本の労働力の質の向上のためのキャリア・アップ支援、有期契約を多様な正社員(無期契約)にすることによる雇用の安定を図るなどの政策目的に資するのではないか。
 何事も多様性を実現させるには一定の数が必要である。ジョブ型人事の導入は、多能工のような働きが求められる中小企業には難しい。一方、大手企業では専門スキルを持った人材でないと務まらなくなってくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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