2022/03/02
三井不動産はデジタル技術に精通した人材の育成に乗り出す。約1800人の全社員を対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の知識や活用術の講義を用意。希望者にはさらに専門的なデータ分析術などを習得してもらう。次世代移動サービス「MaaS(マース)」など事業の多角化に対応できるよう、デジタル対応力を底上げする。
新たな研修制度は1月に導入した。一部の役職は任意とするが総合職や技術職は必修で、15時間以上かけて学んでもらう。まずDX概論としてデジタル化を進める意義や重要性を講義。さらにプロジェクト管理や消費者に合わせたマーケティングなど、5つのテーマでオンライン講座を開く。
さらに約300人の希望者を募り、生産性向上に向けた業務改革を含め応用知識を身に付けてもらう。最終的に絞り込まれた約100人は2023年4月以降、国内外のビジネススクールなどでより専門的なデータ分析などの習得を目指す。
(日本経済新聞 2月20日)
三井不動産はDXの取り組みを「2020 DX白書」にまとめている。注目したいプロジェクトはポータルサイト「スマートライフパス柏の葉」である。
柏の葉の住民であれば誰でも登録できる。利用者は提携の各ヘルスケアサービスを利用できる上に、本人の意思に基づいて自分のパーソナルデータを別のヘルスケアサービスと連携できる。別サービス利用時の煩雑なデータの入力・手続きを省略でき、さらにデータを活用して新サービスを開発し、住民の利便性を向上させるという好循環を創出していくという。
医療政策では、2022年度診療報酬改定でオンライン資格確認が評価されるなどデータヘルス改革が加速されていく。柏の葉はスマートシティのモデルケースである。利便性と幸福度の関係を考えるうえで耳目を集めるだろう。
三井不動産はDXの推進強化を目的に、DX本部のほか、スタートアップとの連携を目的とするベンチャー共創事業部、ライフサイエンス領域エコシステムを創出するライフサイエンス・イノベーション推進部、不動産テック領域の新規事業創出を目的としたビジネスイノベーション推進部、アカデミアとの連携を目的とした産学連携推進部の5部門が運営されている。
大がかりなDX人材育成の背景には、こうした取り組みがある。
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