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経営の知見、「無給」で提供

スキル(技能)仲介サイトを運営するココナラはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じ、企業経営などの知見が豊富な人材をスタートアップに紹介する取り組みを始める。業務の報酬は受け取らず、投資先の株式上場などの際に得た収益を分け合う点が特徴。資金力が不十分な新興勢でも高度な知見を活用しやすくする。 実務を担うのは1月に設立した「ココナラスキルパートナーズ」。創業初期の「シード」や「アーリー」のスタートアップを中心に出資するCVCだ。蘇生した1号ファンドの規模は10億~15億円程度を見込み、出資額は1件あたり1000万~1億円を想定する。 資金面に加えて人材面でも投資先を支える。業務委託契約を結んだ他の新興企業の最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)などを紹介する。事業戦略に対する助言役などを原則無償で務めてもらう。 代わりに投資先の株式上場などで収益を得た場合は、業務委託人材の全員に配分する
(日本経済新聞 2月9日)

スタートアップ企業の経営課題は時代によって異なる。資金調達、販路拡大、内部体制強化などはいつの時代でも同じだが、かつては人材不足が大きな課題だった。経営者と側近が有能でも、良質な社員を雇用できなかった。 社員がすぐに辞めたり、あるいは辞めさせたりの繰り返しで、一向にノウハウが蓄積されず、いつまでも経営者と側近が雑務をも担わなければならない。そんな状態がつづくのだ。 だが、いまでは大手企業を早々と辞めて、スタートアップ企業に転じる人が珍しくなくなった。ピカピカの人材を確保できるようになったのだ。こうした人材はみずから成長していくが、現役の仕事師から直々に学べば成長スピードがアップする。 ココナラが派遣する業務委託人材は、報酬よりも若い人材を支援することに張り合いをもつタイプだろう。スタートアップ企業育成のエコシステム(生態系)として期待できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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