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25~34歳で格差拡大 子育て率も低下 ミニ経済白書

内閣府は7日、最近の経済動向を分析した「日本経済2021―22」(ミニ経済白書)を公表した。
 岸田文雄政権が目指す「成長と分配の好循環」実現をめぐり、格差問題を検証。25~34歳の若年層の間で所得格差が拡大しており、所得500万円未満では子どもを持つ比率も大きく低下していると分析した。「晩婚化や少子化への対応として、結婚や子育てを控える層の所得増加が重要」と提言している。  
首相は、競争原理を重視する新自由主義的な政策が貧困・格差の拡大を招いたと訴える。白書では、所得格差を表す代表的な指標「ジニ係数」を用い、20~59歳までの年齢層別に2002年から17年にかけての労働所得の分布状況を分析。その結果、25~29歳と30~34歳の年齢層ではジニ係数が上昇し、格差の拡大が確認された。「若年男性の非正規雇用比率が上昇し、労働時間が減少したことが背景にある」と指摘する。それ以外の年齢層ではジニ係数は低下した。
(時事通信 2月8日

 内閣府は「所得500万円未満では子どもを持つ比率も大きく低下している」と分析したが、所得500万円なら年収は大まかに計算すれば650万円前後である。
 ところが国税庁が実施した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、30代前半(30~34歳)給与所得者の平均年収は400万円(男性458万円、女性309万円)。30代後半(35~39歳)の平均年収は437(男性518万円、女性311万円)だった。
 共稼ぎしなければ子どもを持ちにくい。この年代は貯蓄も十分に溜まっていない。厚生労働省が実施した「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、世帯主が30代の世帯では、1世帯あたりの平均貯蓄額が530万円。およそ年収分に過ぎず、家計は不安定である。
世帯主が40代になると650万円、50代で1075万円、さらに60代では1461万円に増えていくが、30~40代は教育費と住宅ローンがかさむ年代だ。希望退職の対象になりはじめる年代だが、一方で転職年齢35歳限界説が終焉した。
この年代をどう乗り切るかが、老後への安心を確保できる分岐点になっているようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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